辛《シン/かのと》陰金

【辛】陰金 季節:秋  方位:西、

   根…申(8月)、酉(9月)、(戌(10月))生まれ


 同じ金の五行でも、荒々しいだけの庚とは異なり、美しい輝きを持った宝石や貴金属を表す干です。

 理想が高くて高潔であり、神経がナイーブで傷つきやすく、心を折られたら、なかなか元に戻れないような繊細さを持ちます。

 柔軟で温順、清く美しい。親切さ、感受性、優しさ、思考力。美を表し、土で汚れることを嫌う(綺麗なものに興味を持つ)、壬水で洗われて輝く(冷静な判断。曖昧を嫌う。現実的。)。大過すると、輝きが薄れます(自己中心的となる。頑固さ、自分本意)。


 美しい宝石であり、人から評価されたり賞賛を受けるようなポジションに立つことで、その良さが活かされます。そして精神性の高い生き方を貫いて行くことにより、本来の持ち味を遺憾なく発揮することができるでしょう。


 「辛金シンキン軟弱ナンジャク」砂金・純金・宝珠・宝石・貴金属・月(太陽(丙)の真裏(干合)関係より)。

 精錬された金属、ハサミ。弱く柔らかい金属、つまり貴金属にたとえられます。


 砂金は川底から採取し壬水で洗って美しく磨かれ純金となります。柔金ですから粘り強さを持ちます。柔順で土で汚れるのを嫌い輝きを求めます。

 したがって、壬水が側にあり金水清白となれば、学問技術で身を立てられます。

 色白で美形ですが、そばに土があれば色は白くありません。

 土性が大過すれば埋金となり、周囲に振り回されるか、わがままで主体性のない人となります。


 辛は火の中で溶かされると、宝石の価値が下がってしまいます。火の剋を受けることを決して好みません。

 命式に火がたくさんあると、しなくても良いような苦労を背負い込んでしまうようなタイプとなります。

 このようなときは、庚を用いて火から守ってもらいます。その際、土の五行を用いると、直火を受けることはなくなりますが宝石の周りに固まった土が付着して汚れて輝きを失うので、内格の処方としては用いられません。

 土は辛金から印星(目上)ですから目の上のたんこぶのようです。


 天干に「戊己」があると「埋金」となります。

 このようなときは、辛金がある程度強ければ、甲木によって土を疎土していきます。

 また、辛金が弱ければ、通根や庚によって日主を強めていき、自らの力で埋金を解くようにします。


 いくら壬が良い作用をするといっても、命式の中に水が多く存在しすぎると「沈金」となってしまいます。

 このような場合には、金だけを用いると余計に水に沈んでしまうので、甲木で水を吸い取りながら、同時に金を強めていきます。

 また、あまりにも水が多すぎるにもかかわらず、甲木もないという場合には、やむをえず、戊土を用いていきます。

 戊土を用いることで、今度は埋金にならないように気をつけなければいけないのですが、知識やスキルを武器にしながら、自分の才能をうまく生かしていくことができるようになります。


 辛金は軟らかく、弱いものですので、甲木を断削することはできません。湿土に生金されるのはよいのですが、土多にて埋金となるのを最も恐れるものです。

 壬癸の淘洗を喜ぶのは、汚れを洗い流せば、珠玉のように光輝を発することになるからです。

 この洩秀の美となることを金白水清といいます(辛金のみに言われることで、調候が適切であることが条件)。

 寒となっても、丁火があれば、寒金となることはないものです。火に剋されることを喜ばないのは、他の陰干と同様です。

 辛は壬、癸を喜ぶ。



*理想:河川の水である壬水で洗い清めることで「淘洗」し、研ぎ澄まされて美しく輝く宝石にたとえられ、壬水が隣にあれば美人、頭が良い人、器用な人などと看ます。

    日主のそばに壬があり、さらに、その壬の才能を生かしてくれる甲の樹木があるならば、理想的な命式です。

    壬の代わりに、癸があるのはどうかというと、まったく代用にならないというわけではないのですが、ガラスの表面にたまった露である癸が、壬のような流水になるには、相当の時間がかかり、癸を用いる場合には、かなりの本人の努力と持続力が必要となります。

    辛金にとって壬水と甲木は、どちらもとても大切な干です。

    壬水は、感覚を鋭くしてくれる星であり、内なる才能を引き出してくれる働きをしますが、辛金をさらに冷え切らせることとなり、行動に冷徹さが伴い、場合によっては自己破壊の作用もしかねません。

    一方の甲木は、常識と調和の働きであって、壬水の持っている才能を結実させ、物事を穏やかに収めていく星です。

 甲木がなくて壬水だけがあるのは、優れた才能を持つも、人と調和していくことは得意ではありません。

 壬水と甲木のどちらか一つだけしか取れないのであれば、甲だけあるほうが良いくらいです。


*五常:「義」義理人情、正義感


*長所:キラキラと輝き、飾ることが好きなイメージ。

    自尊心や見栄も強いでしょう。

    新しいもの好きで要領も良いので、すぐ自分のものにしてしまいます。

    加工されたばかりの貴重な金銀珠玉であり、生まれながらにして周囲に大切にしてもらえる徳が備わっています。

    「自分は人とは違う」という特別意識を秘めているのは、繊細な感受性と独特な美意識から。冷静沈着。辛抱強い。繊細。現実的。守り。


*短所:悪い面が出ると評判や反応を気にしすぎて自分をすり減らしてしまいます。

    常識にとらわれず、格好悪いことを何より嫌うため、他者からは見栄っ張りで体裁を気にする人と思われることも。

    自尊心が強く、譲らないところは絶対に譲りませんが、実はきめ細かに物事を見て対応するので、人と合わせるのは巧みです。

    どこか線が細く、なりふりかまわない強引さはなく、どんな時も自分の美学を貫きます。

    大義名分がないと大胆になれない小心さもあるぶん、緻密な戦略や細かい心配りで前進していきます。自分本位。


*開運法:苦労知らずはプライドが高いだけの自分勝手な人間にも。でも磨けば光ります。

     苦労したことを自分の糧にしてプラスに転化する才能に誰よりも恵まれています。

     どんなときも守りに入らないほうが輝く人です。



★干合「丙辛干合」化水

 丙火 ─ 辛金 ⇒ 水に化す ⇒ 壬水 ─ 癸水

 ※月支に亥水・子水があり、他に土の五行がない場合に化す。

 大きな火が小さな鉄を溶かす関係。太陽の光が宝石や月を輝かすイメージにも。

 辛の神経質で鋭い感性や職人気質を丙の前向きでマイペースな意識が変えていく関係。

 干合して弱く柔順、慈愛深くなり、水の本能である新しい知識を吸収したい欲が高まり、好奇心が生まれ、勉強に集中。


★天干の冲

 乙(陰木・東)⇔辛(陰金・西)

 これらの冲もまた争い、事故、暴力などの原因となります。

 ゆえに戦いや紛争、暴力などが起こったら冲が鍵となりうるでしょう。





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