第12話 変化:2 (1/2)
北村の家が校舎から見て俺の家と逆方向にあることは今朝から気付いていた。登校途中で猫の死体を見たと話していたが、その死体は間違いなく俺の作品のことだろう。それを作り上げた場所は俺の家から見て東に、校舎を通り過ぎた更に先にある。それを見て来たと言うのだから、作品よりも更に学校から離れた場所に家があるのだろう。だから北村が”俺と一緒に帰る”のであれば、本来の通学路から逆走することになるということもわかっていた。
最初は放っておこうと思ったが、学校を出て数分後、流石に謎に思った。
なぜ、こいつは未だ、俺の後をついて来ているのだろう。
歩き始めた最初のうちは通学路が真逆であることに確信が待てなかったのかもしれないが、数分経った今、流石にどんくさい北村でもわかるだろう。なのについて来ている。
理由を聞こうとしても聞き方がまずかったのか、涙目になり俺を見上げるだけ。納得のいく答えが得られない。終いには俯いて何も言わなくなってしまった。
意味がわからない。
逆走してまで俺といる意味がどこにあるのだろうか。
俯いている北村を見て疑問に思っていると、ふと、作品の事を思い出した。
今、どういう状態になっているのだろう。あまり時間は経ってはいないし真夏ほどの暑さでもないが、もう腐敗が始まっているかもしれない。近所の大人達や保健所に片付けられてしまった可能性も高い。
一回気になるといてもたってもいられず、気付くと俺の体は勝手に歩きだしていた。
後ろから北村が走ってくる音が聞こえる。
忘れてた。
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