第2話 二人:2(1/2)
私は運が良い。
だって、好きな人、榊原君と同じグループになれたんだもん。しかも向かいの席。正直、魚の解剖なんかよりも榊原君のことを眺めていた時間の方が長かったと思う。授業中は胸がドキドキしっぱなしで、多分顔もずっと赤かった。榊原君にバレてないかなぁ。
友人に榊原君へ想いを寄せている事を打ち明けると、皆そろって「あんな地味な奴のどこがいいの?」と意外そうにする。
地味……なのかな?よくわからない。
通った鼻筋と直線に近い眉毛に薄い唇。私は整った顔立ちをしていると思うのだけれど、強いて言えば、目が細く、若干吊り上がっている。二重瞼であるため重たい印象ではないが、その鋭い目つきに普段からの無愛想な表情も相まって、明るい性格には見えない、……のかもしれない。私はそこもかっこいいと思ってるけど。
髪型は特に弄ってる様子もなく、最低限寝癖はなおしてくるみたいだけど、きっとそれ以上のことはしていない。男子によってはワックスなどの整髪料を使って髪の毛を整えていたりするから、多分そういうところも皆に「地味」と思わせるのだろう。
でも、私はそういう気取らないところが大好きだった。時折風を受けて彼の髪の毛がさらりと動く度に色気を感じてしまい、このままずっとワックスなんて付けないくていいとすら思っている。
休み時間は殆ど読書をして過ごしているようだった。稀に男子と喋っているところを見かけるけれど、本当に時々。みんなと仲が悪い訳ではなさそうなのに、大抵無表情。私は彼の笑顔を見た事がなかった。
ただ不思議と「暗さ」というものを感じさせなかった。どちらかと言うと「群れるのが面倒だ」と自分から皆との関係を絶っているような気がする。友達と呼べる人間がいるのかもわからない。
……うん。皆が疑問に思うのもわかる。
なんで榊原君を好きになったのか。
でもね、私見ちゃったんだ。
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