第23話
視線だけで他のメンバーを追ったが、皆固まっている。
だめだコイツら。役に立たねえ。
意を決して額を撫で続ける水川さんに声をかけた。
「えっと、そろそろ、その、手を外していただけると、助かるかなーって思うんですが」
「あの、お嫌でしたか?」
「イヤ、コウエイトイイマスカ。ハズカシイノデ」
「そうでしたか…。ごめんなさい」
すっと手が引かれた。
ただただ怪我を心配してくれたのだろう。
先日清心の女バスの子たちと会った時のアキラは、まだテーピングをしていた。
その時の話を聞いたのかもしれない。
その時はテーピングがあったので、テープがつかないように前髪を上げていた。
偶然だが、今日は前髪を下ろしている。
テーピングが前髪で見えないので、傷口がどうなったのか気にしていてくれたのだろう。
一言声をかけてくれれば、自分で髪をかき上げて問題ないことを見せられたのだが。
水川さんも緊張しているのか言葉数が少ない気もするので、仕方がないのだろうか。
と、水川さんは自分のバッグを開けて何か探しているようだ。
急な出来事に緊張感が漂っていた室内だが、徐々に空気が緩んできた。
「サ、サキ。急にどうしたの?」
「も、もう、サキちゃんってば、びっくりしたよー」
吉野さんと川口さんが話し始めた。
「本日ですが、あなたにお伝えしたいことがありまして、伺いました」
彼女たちには目を向けず、アキラの方を向いて正座をしたままの水川さんが、バッグから何かを取り出しテーブルに置いた。
「え、あ、はい。なんすか?」
「わたしと結婚してください」
「ごめんなさい。無理です。告白アリガトウゴザイマシタ」
アキラが一瞬で土下座して、そのまま後ろに1メートルほど下がった。
黒猫はその直前に膝上からスッと立ち去って、部屋の端に下がって座り込んでいる。
アキラの様子を見ていた黒猫が「ムフー」と呆れたようにため息じみた吐息を吐いた。
「そうですか…」
水川さんがすっと立ち上がり、女性陣のところに歩いて行った。
「麻衣、わたし振られちゃった」
座り込んで、吉野さんの肩に自分の頭をそっと預けて涙を流した。
女性陣が、ブチ切れた。
その後のことはあまり語りたくない。
ハヤトとナベちゃんが必死にフォローしてくれたが、
終いには岸田・須藤によるアキラの人格否定がはじまった段階で、様子を見にきた巫女さんに止められた。
が、事情を聞いた巫女さんも涙を流す水川さんを見るや女性陣に味方をした。
いつか
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少しして、水川さんが泣き止んだことにより、一旦の決着がついたようだ。
そして、尋問が始まった。
ここからは、Q&Aでお届けしよう。
Q、私たちが目を離したとき、サキに何をしたのか?
A、特に何もしていません。
Q、なぜサキからの告白を断ったのか?
A、ほとんど初対面なのに告白される意味がわかりません。あと、あれって婚姻届ですよね?ほとんど記入済みなんですけど。
Q、ホンダのようなモブキャラが姫様からの言葉に逆らうなど万死に値する。本来であれば、歓喜のあまり素っ裸になって町内を走り回った挙句、割腹自殺しなければならない。
A、E.ホンダはストリートファイターだとちゃんとしたメインキャラクターだ。た、確かにシリーズによってはハブられて出てない作品もあるけど。訳がわからなくなるからやめてくれ。それとお前は俺のことをなんだと思っているんだ。
Q、そもそもなんで婚姻届があるのか?
A、知らん。俺が持ってきたもんじゃないし、お前らも彼女がバッグから出すのを見ていたはずだ。
Q、結婚もしていないのに、彼女呼ばわりとはふてえ了見だ。断じて許せん。
A、それを言うなら『付き合ってもいないのに』だろうが。なんでお前らまでバグってるんだよ。
Q、アキラちゃん、こんな美人さんから求婚されることなんて滅多にないわよ?このチャンスを逃しちゃダメよ。考え直したら?
A、普通はお付き合いするところから、でしょうが。そもそも俺まだ16っす。いや、確かにもう少しで17になるけど。結婚っていつの間にか制限年齢引き下がった?下がってない?じゃあ、男女ともに18の筈ですよね?
・・・
・・
・
Q、真島くんはおっぱい派?おしり派?
A、どっちも好きです。すべからく女性は素敵だと思います。
Q、現在の収入と貯金額は?
A、南町の本屋のバイトを週3日くらいやってます。月だと6〜7万くらいです。貯金はそんなにないです。
Q、今まで何人とお付き合いしましたか?
A、付き合ったことないです。
Q、童貞ですか?
A、はい。
Q、男子高校生なんてヤリたいだけの猿なのに、サキが良いって言っても断るの?
A、いきなりすぎて、アタマが着いて行けません。後で後悔する気はしています。
Q、FAN○A派ですか?
A、はい。
Q、どんなシチュエーションが好きですか?
A、優しいお姉さんものが好きです。
長く険しい尋問は、神主様が『そろそろ日が暮れてきたから帰りなさい。』と声をかけるまで続いた。
ハヤトとナベちゃんは既に帰宅していた。
どうやら尋問の途中(かなり最初の段階)で、締め出されたらしい。
黒猫に、スパーン、スパーン、と猫パンチで顔を殴られてハッと気がついた時、部屋に残っていたのは倒れ伏したアキラ一人きりだった。あとは黒猫も一匹いたか。
何があったかよく覚えていないが、ひどく疲れた。
神主様に気をつけて帰るんだよ。と声をかけられたので、挨拶をして神社を出た。
一気に日が落ちて暗くなった停留所でバスを待ち、この間田中と一緒に乗ったバスに一人で乗って自宅まで帰った。
夕食も断り、風呂にも入らずそのまま眠りについた。
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やっと…、やっと小説紹介文の内容に辿り着くことができました。
改めて御礼を。
こんないつまで経ってもヒロインが出てこない上に横道に逸れまくって全然進まない作品を読んでいただき、ありがとうございます。
一応謝っておきます。
色々とごめんなさい。
こ、これでも最短で会わせようとしたんですぅ。
通り魔事件から約半月後に会えました。正確には17日後くらい。
なのでアキラの怪我はほぼ完治しています。
辻褄が合わない箇所があったら、そっと教えてください。泣き寝入ります。
またエピソードごとに『応援するボタン』を押してくださっている読者様。
すごく励みになっています!…こ、こんな作品でごめんなさい。
良かったらまた押してくれると嬉しいかも。
もしもこの作品を読んで「しょーがないなー」と思っていただけましたら、お手数ですがタイトルページ・レビュー欄、もしくは最新話の下にある『★で称える』の『プラスボタン』をポチッとしてもらえると、とても嬉しいです。
気が向いたらコメントとか残してくださいませ。
返信すると余計なこと(ネタバレ含む)まで書いてしまうので、無言にさせてください。ごめんなさい。コメントいただくと、すごく嬉しいです。
ラストまで楽しんでもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします。
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