第77話 義経の八頭飛び

崖の上では3人がワイバーンの攻撃から逃げ回っている。


「もうムリムリ!」

「弓矢もなくなっちゃったし、あと200以上残っているし」


「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


「ちょっと二人とも!泣き言やお経を唱えるのはやめてください!」


あきらめムードの2人を、必死で守りながら戦う常陸坊。


上空からは弓矢が雨あられのように降ってくる。


次は外すまいと3人を狙うワイバーンの射手たち。


そんな絶体絶命の中、義経がワイバーンに乗って助けに現れた。


「3人とも待たせた!」


「遅いよ大将~死ぬかと思った!」


「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


泣き言とお経を唱える二人とは対照的に、常陸坊が礼を言う。


「ありがとうございます、九郎様お待ちしておりました!」


「常陸坊も乗れ!こいつらは全員味方だ!」


周りを見ると、人が乗っていないワイバーンが次々と騎手と射手を攻撃している。


「こいつらと戦闘終了まで共闘同盟を結んだ!」


「常陸坊も、操られているワイバーンの背中に付いた呪符を剝いでやってくれ!」


そう告げると、義経が乗ったワイバーンは、どのワイバーンよりも高く飛び急降下を始める。


騎手の乗ったワイバーンに飛び移り、騎手と射手を斬り倒し、呪符を剥がす。


すぐさま付近のワイバーンへと飛び移り、呪符を剥がしては次のワイバーンへと飛び移った。


その光景を下で見ていた与一達は思わず呟く。


「すごい…まるで壇ノ浦の九郎様を見ているようだ」


後にこの姿を見た与一たちが、『義経の八頭飛び』と皆に伝えた。

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