溶解する記憶に「愛」の言葉を。

根本水面

Prologue. 「叶わないままがいい」

第1話

 それは高校の卒業式の日のこと。

 同級生との別れの日。



 そして———————あの言葉を突き付けられた日。



 あれから六年。

 すっかり時間が過ぎてしまった。それでも——————。




「私は悠悟くんが好き。だけど、その願いは叶わないままがいい」




 あの日の、あの時の、あの表情が、あの言葉が、ずっと—————————。




 ずっと頭の中に取り付いて————————離れない。


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