第37話
「分かってると思うけど、魔力って、色々な付与が出来るのよね!
まあ、人それぞれの適正もあるんだけど!」
チンカーヘルが、魔力について端折って説明する。
「水属性とか、火属性とかの話か?」
「そういいうのも有るわね!魔力を水の性質にするのが上手い子は、水属性魔法が使えて、魔力を熱くするのが上手い子は、火属性魔法が得意って感じね!」
「俺、水属性魔法も、火属性魔法も使えないけど……」
「おかしいよね……アンタなら、本来使えると思うのだけど? 実際、魔力付与は今でもやってるみたいだし。
アンタ、この薄着の痴女の為に、自分の魔力を暖かくして包んであげてるでしょ!
そんな自由自在に魔力の温度調整できるなら、普通に火魔法も水魔法も、ついでに氷魔法も風魔法なんかも使える筈なんだけど……」
どうやら、俺が、薄着のマリエの為に、魔力で温度調整をしてやってる事を言ってるようだ。
「俺、どうやら魔力を、自分の体から放つのが苦手みたいなんだよね……」
「本当に、アンタって変わってるよね。
そんだけ、魔力を自由自在に操れるのに、魔力を放つ事だけが苦手って、本当に意味分かんないわ。
だけど、苦手なものを克服するより、今は、得意な事を極めるのが重要ね!
時間があったら、苦手な魔力放出を練習するべきだと思うけど、今は最速で黒龍をぶっ飛ばしたいんでしょ!
なら、得意分野で攻めていきましょう!」
「ん? でも俺って、今以上の事が出来るようになるのか?
今でも、相当、魔力操作は上手いんだろ?」
「ええそうね。素人としては上手いわ!
自然に攻撃する時とか、魔力を硬化させたり、魔力に回復付与を掛けたりと器用にやってるようだし」
「俺って、回復魔法も使えたのかよ!」
まさかの事実に、俺はちょっとビックリする。
「 気付いてなかったの?! 最近、いくら歩いたり、修行しても全く疲れてないでしょ?
それって、自分自身で無意識かに回復魔法を掛けてるだけなんだけど……
やっぱり、アンタって天才よね。
何も意識しないで、今迄、自由に魔力付与や操作をしてきた訳だし。
あの物好きな黒龍が気に入る訳だわ!」
どうやら、俺は変人に好かれる性格らしい。
黒龍もそうだが、チンカーヘルにも執着されてるし……
というと、エリーやマリエも、もしかして変人?
いや、マリエは置いといて、エリーは絶対に違うと断言できる。
だって、エリーに関しては、どう考えても俺の方が執着してるしね。何故だか全く分からないけど。
多分、前世ではお友達になる機会など無かったが、黒ギャルという生物に憧れを持ってたのかもしれない。
だって、アホそうでエロそうに見えるんだもん。
男なら、誰だって好きでしょ!
自分にだけ優しくしてくれる、イケてる黒ギャルなら!
ヤヌーって、天然物の黒ギャルなんだよ。
地黒で、金髪で、エロ教育受けていて、外国人に従順。しかも栄養管理もしっかりされてるから、プロポーションも完璧。
ちょっとエリーの事を考えてたら、脱線してしまったが、兎に角、俺は、魔力の質を上げる修行をする事となった。
チンカーヘルの話によると、俺って自然に魔力を自由自在に動かしたり、魔力付与をしてたのだが、これからは意識して魔力を扱うようにしろとの事。
まずは、ダダ漏れの魔力を圧縮させる修行。魔力を圧縮させれば圧縮させる程、魔力の質が上がるらしい。
今迄は、魔力を硬化させるイメージで拳を奮ってたのだが、魔力を圧縮させるだけでも、魔力がカチンカチンになるらしい。
「うん! 魔力圧縮は、だいたいマスターしたわね! 次は、その圧縮した魔力を、自分の体の薄皮一枚に纏わせる修行よ!
そうね!10倍魔力圧縮させた魔力を、薄皮0.01ミリで体に纏えたら合格よ!」
「そんな事、普通できるのかよ!
魔力圧縮するだけでも難しいのに、その10倍にも魔力圧縮した魔力を薄皮0.01ミリまで薄くして、しかも体に均等になんて、纏えねーよ!」
俺は、流石にメチャクチャな事ばかり言うチンカーヘルに反論する。
「何言ってんの! それくらい出来ないと、黒龍の硬い鱗に、傷一つもつけれないわよ!」
「確かに……」
俺は思い直して、チンカーヘルの修行を続ける事にする。
だって、修行したのに黒龍を倒せないんじゃ意味ないし、俺は黒龍を倒す為に修行しているのだ。
修行の為の修行をしている訳では無いのである。
そして、3週間。ひたすら練りに練った魔力を、薄皮一枚0.01ミリを体全体に纏う修行をしてると、
「うん! いい感じね!完璧に出来てるわよ!
次は、薄皮一枚0.01ミリの魔力を常に纏ったまま、それを覆うように、二重に違う魔力付与をした魔力を纏ってみて!
そうね、火の魔力を纏ってみなさい!」
またまた、チンカーヘルがトンデモナイ事を言い出した。
まあ、確かに、元々そんなような事はやってたが、今は魔力圧縮して、しかも魔力を薄皮0.01ミリまで薄くしてるのだ。そんな事をしたまま、さらにその上から火の魔力を纏えとか、メチャクチャ過ぎる。
まあ、そんな事を思いながらも、俺は普通に出来ちゃうのだけど。
今迄も、常に寒そうな格好してるマリエを暖かい魔力で覆いながら、違う魔力を付与して、魔物と戦ってたしね。
「あら。意外と簡単にできちゃうのね。
流石、私が認めた男ね!
そしたら、その火の魔力を覆うように水の魔力を纏ってみて!」
なんか、チンカーヘルは簡単に言うが、流石にそれは無理だろ……
だって、現在、0.01ミリの圧縮した魔力の上に30センチくらいの火の魔力を纏って、その上に、火の魔力の反対の性質の水の魔力を纏えって、そんなの俺の頭の方が追い付かない。
「そんなの並立思考もってないと、出来ないだろ!」
「何、言ってんの?そんな事も出来ないようじゃ、最も神に近いと言われてる最強生物の黒龍なんかに、絶対に勝てないわよ!」
「ああ! やればいいんだよ! やってやるよ! 俺は黒龍でも何でも倒してやるんだよ! エリーを助けれるなら、並列思考でも何でも、絶対にマスターしてやるってんだ!」
俺は、こうして修行の沼にハマって行くのであった。
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