第6話 5日目『ヤヌーの4つの戒律』

 

 5日目。


 今日も、エリーとお手手繋いでランランラン。

 本当、金髪黒ギャルと、手を繋いで学校に登校するのは楽しい。


 中学時代とか、お手手繋いで学校来る、頭お花畑のリヤ充彼女持ちなど死ねとか思ってたけど、イザ、自分がその立場になったら、本当に気持ちいい。


 ウオォォォー!!心も体も満たされるぜ!

 どうだ!非モテニート共! 羨ましいだろ!

 と、声出して自慢したくなるレベル。


 だけれども、このヤヌー国には、非モテニートは存在しないので、自慢出来る奴が居ないのだ。


 あー本当に残念。


 俺の彼女、本当にイケてて、エロい体してるんだぜ!て、自慢したいのに。


 しかも、彼女の一人暮らしの部屋に転がりこんで、一緒にお風呂も入って、一緒に裸で寝てるんだぞ!て、みんなに自慢したいのだが、大体のヤヌーで付き合ってる奴は、俺と一緒の事してるから、全く自慢出来ないだよね……


 そんないつもの妄想をしつつ、今日もいつもの授業。


 基本、歴史の授業と道徳の授業は、毎日あるのだ。


 で、いつものようにヤヌーの歴史を繰り返し聞かされて、本当に、ヤヌーが聖アビス山の割れ目から生まれる事が、事実だという事が分かった。


 それも、2歳児の子供が、聖アビス山の割れ目から生まれてくるらしい。


 多分、2歳になるまでは親か何かに育てられていて、乳離れしたら、他国からヤヌー国に送られてくるのであろう。本当に、変わった風習だ。


 まあ、変な親に育てられてネグレクトなんかになって、ヤヌーの特性を知らずにヤヌー同士で子作りしちゃうと、不幸な子供が生まれてしまうかもしれないからね。


 それを回避する為に、ヤヌーは16歳になるまで、ヤヌー国で育てられるのが徹底してると思われる。


 そして、2歳から16歳になるまでに、性教育と、道徳を、徹底的に教えこまれ、ヤヌー同士では絶対に一線を越えないように叩き込まれるという訳。


 自信満々に説明してるけど、全ては俺の憶測だったりする。


 性教育の話以外にも、道徳の授業で習う、『ヤヌーの4つの戒律』というのもある。


 一応、説明すると、


 1、隣人に優しく、異民族により優しく手を差し出せ。

 2、隣人が食事に困ってたら、自分の食事を。寝床に困ってたら、自分の寝床を分け与えよ。

 3、右頬を打たれたら、左頬を差し出し、嫌な人を愛し、敵を愛し、迫害する人を愛せよ。

 4、そして、この3つの戒律を守る事こそが、サルーに至る道である。


 なんか、地球でも聞いた事があるような教えもあるが、ヤヌーは、この4の戒律を守って生きている。


 まあ、子孫を残す為に、異民族に優しくしろという事だろう。


 本当に、聖人君子かよ!というほど、真人間の生き方だと思うし、そのお陰で、俺もエリーの家に転がり込んで、寝床も食事も与えられてるとも言えるけど。


 ん?そうすると、やはりエリーは俺の事をそんなに好きじゃないんじゃないかって?


 そんな事は絶対にない。

 なにせ、俺はヤヌーとエッチ出来る白い人なのだ。

 誰もが俺と付き合いたいに決まってる!

 実際、エリーは出掛ける時、俺の手を離さないし。誰にも俺を奪われないようにしてるから!


 それは、1つ目の戒律の、『異民族には優しく手を差し出せ』を、実践してるだけだって?


 そうだとしても、俺はエリーを信じてるのだ。

 だって、俺の白バナナを綺麗に洗ってくれるんだぜ!

 そんな事、女の子に日本でやられたら、それは付き合ってると言ってもいいでしょ?

 俺は、エリーと付き合ってるつもりなんだよ!


 少し熱くなってしまったが、もうこうなったらエリーに告白するしかない。

 俺的には、もう、エリーと既成事実が成立してると思ってたが、ヤヌー国では違うのかもしれないし。


 お風呂に一緒に入って洗いっこしたり、裸で1つのベットで寝ただけじゃ、性に寛容なヤヌー国では、普通な事かもしれないし。


 なにせ、相手は、金髪黒ギャルだし、見た目はイケイケのエロエロだし、俺の地球の価値観が間違ってるかもしれないから。


 そんな訳で、俺は、学校の帰り道に、エリーに告白したのである。聖なるアビス山の割れ目が見える丘の上で。

 エリーに、「付き合って下さい!」と、エリーの両手を握り。エリーの目をしっかりと見て、俺は真剣に告白したのだ。


「ハイ。私で良ければ!」


 エリーは、なんと、2つ返事でOKしてくれた。


 ちょっと、軽い返事だなとも思ったけど、それが金髪黒ギャル種族、ヤヌーの特徴なのだろう。見ず知らずの男を、簡単に自分のベッドルームに招き入れるぐらいの種族だし……


 兎に角、細かい事は置いといて、物凄く嬉しい。俺は、ついに初めての彼女が出来たのだ。31歳にして。


 ん?何故、31歳?だって、普通の異世界転生ものだと、前世の年齢と今世の年齢を足して言うのが普通だろだって?

 しょうがないだろ! 俺って、この体の記憶を全く持ってないから、俺の感覚だと、まだ31歳なの!


 取り敢えずは、彼女が出来たからには、ついに童貞を卒業出来ちゃうぜ!


 俺は健全な少年らしく、邪な妄想が頭の中を支配する。

 これは仕方が無い事だよね。俺も男だし、今迄、ずっとエリーにお預け食らってた訳だし。


 てな訳で、家に帰って、風呂に入って、イザ事を初めようとしたのだが、俺は緊張し過ぎて何も出来なかったのだ……


 ん?不能?


 何とでも言ってくれ。俺は31歳になるまで彼女が出来た事もないし、童貞だったのだ。

 そんな俺が、イザ、本番って、そんなの無理だから。

 しかも、相手が普通の子だったら、まだ出来たかもしれないけど、俺の彼女は金髪碧眼のイケイケの黒ギャルなのだ。萎縮するなって方が無理な話。


 手を握ってる時はビンビンだったのに、俺って男は、本当に情けない……


 ーーー


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