第2話 夢じゃない

 

「頭痛ぇーー!」


 俺は、頭の痛みで、目を覚ます。

 それにしても、さっきは凄い夢を見た。

 金髪碧眼のスタイル抜群の黒ギャルが、二日酔いの俺を介抱してくれる夢。


 何故か、最後に、頭から血がブシュー!と吹き出て、血の気が引き、目の前にあった金髪黒ギャルの2つのたわわな丘に顔を埋めて、そしてそのまま失神してしまうという、とんでもない夢だったけど。


「て……エッ?!」


 俺は、再び飛び起きる。

 だって、さっきと同じ、見た事ない天井だったから。


「嘘だろ?コレ?!」


 見た事ない天井。見た事ないベッド。そして見た事ない部屋。


「やっぱり、俺の部屋じゃないじゃん!」


 という事は、さっき居た金髪黒ギャルは、本物?

 そして、俺はチョメチョメしたのか?

 そんな事より、俺の頭。さっき血が出てたし。


 俺は、頭を触ると、やっぱり血が出てるし。

 二日酔いじゃなかったのか?

 というか、酒飲んで酔っ払って、どこかに頭を打って血が出た?

 それか、酔っ払った勢いで、あの金髪黒ギャルに手を出そうとして、頭をカチ割られた?


 まあ、あの見た目の金髪黒ギャルなら有り得る。素っ裸で寝るような女だし。

 とか、考えてたら、頭もドンドン冴えてくる。

 というか、さっき俺のチョコバナナが、ヒョロ長い白バナナになり、帽子が被ってた気が……


 俺は、布団を跳ね上げ確認すると、やはりヒョロ長白バナナに変わっていたのである。

 長くなったのは、少し嬉しいが帽子が被ってしまったのは頂けない。


 というか、これは、もしかして、もしかするんじゃないか?

 肌は日本人のそれじゃなくて、欧州人のような白い肌。そして、気付いてたんだけど、薄らなのだが金髪の下の毛が生えてたのだ。


「そうだよね。コレって、どう考えても異世界転生?じゃない?異世界転移?」


 俺は深く考える。


 こういうのって、異世界転生していて、大人になってから前世の記憶を思い出すパターン。

 それとも、異世界転移して、多分、この世界で死んでしまった人間に、俺の魂が乗り移るパターンの2種類くらいの筈。


 俺の場合は、どっち?

 どっちかだとしても、普通は、そろそろこの体の人物。ヒョロ白い白人の男の子の記憶が戻ってきても良い頃だと思うのだけど、全く、覚え出せないし。


 というか、俺って、誰なんだよ!

 この世界の事、全く分からないのかよ?

 というか、もしかしたら異世界転生も転移もしてなくて、ただ白人の子供に生まれ変わっただけで、異世界転移せずに地球に居る場合も考えられる。


「糞っ! 全く情報が足らん!さっきの金髪黒ギャルはいねーのかよ!」


 俺は立ち上がり、金髪黒ギャルを探す事にする。

 ベッドルームを出ると、すぐに洗面所のような場所があり、くすんだ鏡に12、3くらいの金髪の白人の子供が。


「エッ?! これが俺かよ!」


 その余りの美少年ぶりに、俺はビックリしてしまう。


「これは、完璧に異世界で間違いない」


 もしかしたら、地球の中世にタイムスリップした可能性もあるが、こんなくすんだ鏡など、今の地球で見た事ないし。

 だとしたら、先程見た金髪黒ギャルは、自毛の金髪碧眼ギャル?カラコンじゃなくて?


 リアル金髪黒ギャル、初めてみた。

 なんてエロい見た目の種族なんだ。

 結構モデル体型だったし、パッチリ二重だったし、まつ毛も長かった。


 なんか、急に、楽しくなってきた。

 金髪碧眼の黒ギャルなど、地球に居ないし。

 しかも、顔の作りは東アジア系のそれ。

 目だけは、まつ毛が長くてクリクリ二重。

 どう見ても、日本の金髪黒ギャル。

 しかも、モデル体型でエロい体付き。


 この世界は、もしかしたら金髪黒ギャルがスタンダードに居る世界かもしれない。


 そんな事も思いつつ、ヒョロ長くなった白人特有のチ〇コを伸ばしてみたり、鏡で自分の体をチェックしてると、


「アッ! 気付いたのね。白い人」


 さっきの金髪黒ギャルが、薄着というか、胸と下半身を隠す布のようなものを巻いてやって来たのだった。


「えっと、貴方は?」


 俺は、取り敢えず、長くなったけど帽子が被ってしまい、恥ずかしくなってしまった白バナナを隠して質問する。


「私?私はエリスだよ! みんなにはエリーて呼ばれてるよ。君は?」


「えっと、俺はタカシだけど……」


 取り敢えず、今の俺の状況が全く分からないので、日本での本名で答えてみた。

 なんか、後で、この体の子供の本名が分かったら、その時は偽名使ってました。ゴメンなさいって言えばいいよな。


「たかし? ふ~ん。変わった名前だね。まあ、この国の人じゃなさそうだし、外国人なんだね!」


 エリーは、全く、俺の事を疑う事なく信じてくれた。


「え~と……それで、俺はどうい状況なの?頭から血が出てるみたいだけど、全く覚えてないのだけど?」


 俺は、今の状況が全く分からないので、エリーに質問してみる。


「全く覚えてないの?タカシは、私の家の前で、頭に血を流し倒れてたんだよ!」


「そうなの?」


「うん! そうだよ。だから私がタカシの頭に軟膏ぬって介抱してあげたの!

 だから、さっきみたいに触っちゃダメだよ。また、血が吹き出しちゃうから!」


「それだけ?」


「うん! それだけ!」


「じゃあ、何で2人とも裸でベッドに寝てたのかな?」


 俺は、物凄く疑問に思ってた事を質問する。


「ん?普通、寝る時は裸で寝るものだよね!」


 エリーは、不思議そうに答える。


「それって、この世界の常識?それともエリーだけの常識?」


 俺は、とても大事な事なので確認する。


「ん? 世界の常識だと思うよ。友達の家に遊びに行っても、みんな裸で寝るもん」


 キター! この世界最高ーー!金髪碧眼黒ギャルが、裸で寝る世界!

 俺、もうこの世界で生きたいよ!


 だって、地球に戻ったって、学歴、資格無しの派遣社員の31歳のオッサンだし、もう絶対に、金髪黒ギャルと裸でベッドで寝る機会など無いと思うしね。


 金髪白人の美少年に転生してしまった、元派遣社員のオッサンは、この世界で生きる事をアッサリ決意してしまった。


 この選択が吉と出るか、凶とでるかは、まだ誰にも分からない。

 何故なら、この世界の秘密を、元派遣社員のオッサンは、全く理解していなかったのだから。

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異世界行っても、金髪黒ギャルには、飲んでも乗るな! 飼猫 タマ @purinsyokora

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