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尖りツインの帽子屋根のホテル『QUEENのお部屋』内――折りたたんだ服がパンパンに入った手提げ紙袋が三つソファに置かれているリビングに、今は誰もいなく。微かに漏れ聞こえているシャワーの音が止んで。バスルームへの凹みから、バスタオル簀巻き状態で出てきた響妃美華がしゃにむに構え意思の疎通でフラッシュした瞬間の中のシルエットが服を着たようになって、おさまると、デパートで披露したコーデ七分丈スカパンにピンストライプのサマージャケット、インナーは魅せブラチックな臍だしトップス姿になる。
「主キャラって、どうしていっつもおんなじコーデ? お洒落いいよね」と姿見を見て、一回転ターンして、「エヘッ」と笑った妃美華が……三つの紙袋を持って、出て行く。「都心のど真ん中にもあるんだ、リサイクルショップって」と口遊みつつ……。
金雄のオフィスで、閉じたパソコンが置いてある机に座った持田金雄が電話しろテキなジェスチャーに、前に立っている持田銀次がスマホで電話する。
「ああ、女刑事さんかね。銀次です」と机に置いてスピーカーにする。「はい」と真美の声。
「その後、例の件は持ち帰ってどうなりましたか? 女刑事さん」
「ああ、持田さん? ああ、その件でしたらご心配なく。警視庁のサイバー班でホテルの防犯カメラを解析しています。前科でもあればいいのですが……」と真美の声が答える。
「セキュリティ対策は……個人情報の漏れなど無いのでしょな」と銀次。
横で金雄も頷いている。
「腐っても警察機構です。依頼案件重視で進めています。個人情報漏れなどありえませんよ」と真美の声。
「なるはやで、願いますよ、女刑事さん」と通話を切る銀次。
「リスクも考慮して、こちらも動くか、銀次よ」と金雄。
「ああ、ま、そうだな兄貴。モッチーエージェント発動だな」
「支配人の小江戸に口利きして、デカさんに渡した防犯カメラのコピーを拝借願おうかな」
「ああ、そだな、兄貴。闇ハッカー使ってみるか?」
頷きあう銀次と金雄。
山間の山肌が削られている砕石所――有刺鉄線に囲まれた敷地の出入口にプレハブの小屋。前の駐車スペースに、軽ワゴン車と、Ⅼマークの覆面車。そしてもう一台のセダンが止まっている。作業着スタッフに連れられて……有刺鉄線内の縁を行く芝田竜次と南城真美ともう二人のスーツ男……。作業中につきダンプとホイールローダーが音を立てている。
「あそこに、横穴を掘って厳重に鉄扉で保管しております」と手を砕石現場の端の方に向けるスタッフ。隠された鉄の扉を、南京錠を開けて、更なる中へと案内する……。
「防犯もある」「これでは盗むのも容易ではないですな」と二人組のスーツ男が言う。
「どうやって。どこかに穴でも」と穴の中の土壁内部を見渡す……真美。
「若しくは関係者のだれかっていうセンも」と不自然に空いている地面を蹴る芝田。
内部にも鉄柵が施してあり、ひんやりとする空間にダイナマイトの木箱がごっそりある。
有楽町駅を西に出てきた肩に一つ掛けて、両手に一つずつの紙袋を持った一見スカートのようなスカパンにピンストライプのサマージャケット臍だしトップス姿の響妃美華。
線路高架下の小道を来た妃美華が、立ち止まる。人が疎らな小道なれど雑踏では地方の混みあっていると同様な往来はあり、他者にあたらないよう目配せした妃美華が、『リサイクルコーデG』ショップに入り。「これ、シャワー後に一度着ただけで……」と訴える声が。
金雄のオフィスで、金雄と銀次が話す……。
ピコココーン! とデスク上に蓋を閉じた状態のパソコンがメール受け取りを示す。
「お! 来たか」と金雄がパソコンを起動しマウスでメール①のタスクバーアイコンをクリックすると、『闇ハッカーマーチ』ハンドルネームのRe:メールを開く。「お受けいたします。金銀ブラザーズ様。現場出張or遠隔操作にての作業をお選びください」とある。
「来てもらおう。兄貴。遠隔は……」と銀次。
「ああ、もとよりだ。銀次」と金雄がパソコンキーボードを叩かずして、内臓スピーカーに『声紋認証兼任文字変換機能』を通じて依頼する。
「ああーえ? 現場出張で頼む」と金雄の言葉が文字になってメールメッセージに羅列すると、銀次も確認して、クリックして、送信する。早々に、「承りました。料金表は提示通りで。こういったケースはお急ぎでしょうから、本日20時にお伺いできますが?」
「それでよろしく願うよ」と金雄が言うと文字メッセージになり、クリックして送信する。
「畏まり。では次の頭金の数字と暗証コードを8千ケタ以上で入力してください」と来る。
金雄がスクロールして……「遠隔ケース料金500万円。出張ケース料金1000万円。頭金は半額です。尚、インボイスも対応しておりますので悪しからず」のメッセージをさらにスクロールすると……頭金額の空欄コマンドがあり。『5,000,000』円を入力し送信する金雄。
「確認しました。では、この者が参りますのでご確認ください。3秒間の後に顔写真は消去します」とダークマーチネームの顔写真が、出て、1、2、3で波紋の如く消去する。
通信が切れて、こちらもメールを閉じる金雄。
「あんな小娘が? 闇ハッカーか? 兄貴」
「ま、二十代女子的な感じだが、人には様々に事情もあるだろう。ま、こっちもぬかりなく準備すればいいさ。なあ、銀次よ。ムフッ」と笑う金雄。
「よし、兄貴。俺も立ち会うよ」と銀次が『クラブ・しのぶ』に電話する。
芝田竜次と南城真美が乗るⅬマークの覆面車が――夕日を浴びて『川口方面』に向かう。
尖りツインの帽子屋根のホテルは東京駅――JR構内『丸の内』改札を出てくる……スカパンにピンストライプのサマージャケットで臍だしトップス姿の響妃美華が、俄かに差し込んでいる外光がオレンジがかっている中を……ホテルエントランス口へと行く。
同・別室――「支配人お墨付きな住み込み女スタッフでよかったわ」とメイド的制服を脱いで……ペパーミントグリーンのワンピースをタンスから出す、ブラとパンツ姿の仁美。
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