SUNRISE

 結婚してから三年が経った。


 もうすぐ朝。

 昨日の夜もあのひとは帰ってこなかった。

 これが今の日常だ。

 いつもの女のところにいるのだろう。


 最後にあのひとと顔を合わせたのは数週間前。

 大切な話があると言われ、私は夜遅くまであのひとを待っていた。

 そして、女の匂いをまとわせながら帰宅。

 隠すことすらしなくなった。


 ダイニングのテーブルに向かい合って座る私たち。

 あのひとは、私と視線を合わせながら一枚の紙を出した。



「キミと別れたい。離婚してくれ」



 女の影に気付いてから一年。

 ついにあのひとから離婚を切り出された。

 私はがっくりとうなだれる。



「僕はもうキミを愛していない。そんな僕と一緒にいるのはキミも辛いだろう。だから、ここで関係を清算しよう」


 その言葉にゆっくりと顔を上げた私。

 そこには、私を心配しているをしている顔があった。


 私はこう答えた。




「離婚はしません」



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