第22話
あれから2日が経った。明日は店の定休日だ。お店は休みだが全員勉強の為に出勤はするのだ。
俺だけはシッカリと休む予定だ。店長特権って素晴らしい!
しかし、店長だからと言って遊んでばかりもいられない。店長には店長としての仕事があるのだ。
ドロシーとミンミは開店前から働いているので、もうすぐ10日になる。だから仕事終わりに、全員にお給料を渡す事にした。
ドロシーには当初の約束分の金貨1枚と、特別報酬で更に金貨1枚だ。
お金を受け取ったドロシーは冷静に振る舞ってはいるが、鼻の穴がヒクヒクしている。相当嬉しいのだろう。
10日分の給料の相場は大銀貨3枚~5枚らしいから、ウチの給料は2倍~3倍高いのだ。更に特別報酬まで付いたら大興奮間違い無しだ。ドロシーは実家暮らしだと思ったが、今は一番の稼ぎ頭だろうな。
俺だって10日働いて20万円貰えれば嬉しい。俺もそんな会社で働きたかったよ!
ミンミにも当初の約束分の金貨1枚と、特別報酬で大銀貨3枚を渡した。
「あのっ、私も貰えるの?」
特別報酬の事を訊いているのだろう。まだ計算も出来ないので戦力としては半人前なのだが、ピリヨとリィズには出来ない力仕事もしてくれてるので正当な評価だと思う。
「もっと多く貰えるように勉強も頑張るんだぞ」
ピリヨとリィズには、それぞれ大銀貨5枚を渡した。
「2人はここに住んでるから、家のお金もご飯のお金も全部俺が払っている。だからこの金額だ。もっとお仕事が出来るようになれば、もっと貰えるようになるから頑張るんだぞ」
ピリヨとリィズの給料をいくらにするか、正直迷った。
先日までストリートチルドレンとして生活していて、マトモな食生活も出来ていなかった2人だ。いきなり大金を渡す事に怖さを感じていた。かと言って、あからさまに少ない金額だと可哀そうだ。
迷った俺は商業ギルドのホーソンさんに相談して、
これを基準に計算したら、10日分の給料は銀貨8枚になる。ドロシーとミンミは金貨1枚なので銀貨100枚分だ。いくら子供でも差があり過ぎる。
迷いまくった俺はドロシーにも相談した。
自分と同じ金貨1枚が妥当だけど、家と食事を与えられてるので半額で良い。という意見だった。
4人とも給料に納得してくれたようなので、俺は自室に戻った。
俺は店長だから給料を貰える立場にはない。自営業という意味では、経費を引いた残り全部が給料と言っても良い!
そんな事を考えながらコインの枚数を数えた。
4日間の売上で、金貨が121枚、大銀貨が457枚、銀貨が8829枚だった。
4人分の給料と肉壁冒険者のバイト代を引いて、先日までの残りを足すと・・・
金貨が121枚、大銀貨が555枚、銀貨が11001枚だ。日本円に換金したら2800万円以上になる。
やっと金持ちに成れる見込みが出て来た。
だが、まだまだ足りない。俺は一生働かなくて良いくらいのお金を稼ぎたいのだ。
何を隠そう、俺の夢は”一生グータラして生きて行く事”なのだ!
日本円に換金するには銀貨では効率が悪いので、明日は商業ギルドへ行って金貨に両替出来ないか相談しないとな。
俺は異世界に住みたい訳では無いのだ。どちらかと言うと、異世界には住みたくない。
”食料”と”トイレ”と”ベット”が気に入らないのだ!
ハッキリ言って異世界での生活は、ジャパンクオリティーで育った俺には不快でしかない。
異世界は稼ぐ場所であって、生活する場所では無いのだ!
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