第20話

「フッフッフッ……」


 俺は自室で今日の売上を眺めている。ニヤニヤが止まらない!


 今日の売上は、金貨が37枚、大銀貨が141枚、銀貨が2472枚だった。

 銀貨で言えば、7582枚相当になる。

 肉壁にバイト代を払ったので実際は、銀貨7507枚相当だ。

 全部金貨に両替して地球で売ったら750万円相当になるだろう。


 本当に笑いが止まらない!


 露店販売の2.5倍は売れた計算だ。

 露店販売の噂を聞きつけて来たと思われる人たちが多く、大口で購入する人が多かった。

 今後も大口が増えるなら、今回仕入れた商品は6日で売り切れる事になる。

 5日毎に日本へ仕入れに行っても良いが、異世界時間の5日は日本では12時間になる。12時間で百均の店頭に商品の補充が出来るとは思えない。


 んー・・・

 悩んでも仕方が無いか。明日1日店舗の状況を見てから夜になったら日本に行ってみよう。

 明後日は店舗を休みにすれば地球時間で3時間過ごせる。百均と企業契約するか、日本での買い付けが難しいならアメカリで買い付けしても良いだろう。


 ★


「転移!」


 久し振りに自分の家に帰って来たな。置時計を確認すると、


「午後11時」


 不味い。百均の本社なんてこの時間は誰も居ないだろう。企業契約以前に連絡が取れない。


「転移!」



「YO!兄弟、金貨持って来たぜ!」


「イエローモンキーか、まずは見せな!」


 俺は金貨を70枚取り出してカウンターに並べて見せた。

 オッサンは、ヒュ~っと口笛を鳴らしながら上機嫌で重さを量り始めた。


「今回は現金で欲しいんだけど、今すぐ何とかなるか?」


「オイオイ、そいつはムリだ。5万ドルなんてすぐには用意出来ない」


「・・・そいつは残念だ。もし用意出来るなら次からは1000枚単位で持って来ようと思っていたんだがなぁ」


 さっきまで上機嫌だったオッサンが、苦虫を嚙み潰したよう顔になった。

 オッサンがどこかへ電話をしている。どうやら現金を用意してくれるようだ。

 俺だって無理は言いたく無かったんだが、どうしても現金が必要なんだ。カードの支払いの件もあるが、買い付けをする為に契約を結ぶには色々と必要になるんだよ。


「イエローモンキー、特急料金は手数料3割だ」


 金貨70枚で手数料を3割引かれたら・・・49000ドルかな。カード払いの支払いを除いても3万ドルは使えるって事だ。充分だろう。


「あぁ、それで良い。次回からは無茶はさせないから安心してくれ」


 俺はオッサンの事をギャングっぽいと思っていたが、現金を店まで運んで来た男のは”ザ・マフィア”だった。俺がイメージした通りのステレオタイプの出で立ちに、俺は笑いをコラえるのに必死だった。


 ★


 それからはアメリカ中を転移しまくった。

 最初に商品を扱ってる会社を探して買い付けの交渉だ。納品場所は社屋の横に俺専用のコンテナを設置する事にした。そのコンテナに毎日一定数納品して貰うのだ。勿論支払いは月末〆の翌月払いだ。

 ライター、石鹸、袋と3社に交渉したあと、20フィートコンテナを買いに行き即金で買った。中古を買っても良かったのだが、新品を購入したので3つで25000ドルだ。

 再び転移し其々の会社にコンテナをコッソリと設置した。

 日本で同じ事をしようと思ってもコンテナを置けるスペースが無いから、アメリカに来て良かったのかもしれない。


 これで地球時間で毎日納品されるから、異世界時間で10日に1度商品を取に来れば良い。

 支払いは翌月払いなので30日ほど余裕がある。異世界時間なら10カ月後だ。


 俺は国際空港に転移して、余ったドルを日本円に両替した。

 日本に転移して深夜のコンビニを数件廻って食料品を購入したあと、俺の口座に残りを入れた。


 目まぐるしく転移しまくった1日だったが、良く考えたら会社を辞めてからまだ1日も経っていないのだ。

 異世界で稼いだお金も、先行投資しただけで殆ど使ってしまった。

 もっと沢山稼がないと!


「転移!」






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