第18話

 調理場の改装は予定通り昼には終わった。改装の費用は金貨3枚だったが、椅子とテーブルの料金も取られて、金貨6枚分を払う事になった。ドロシーの実家は大儲けだった事だろうな!

 ライターをパッケージから出す作業は昨日終わり、今は固形石鹼をパッケージから出す作業をしているが、それももうすぐ終わるだろう。

 この様子なら、明日には店をオープン出来そうだ。

 問題は、計算が出来るのが俺とドロシーの2人だけという事だ。露店では商品を結構盗まれたから、出来るだけ商品の陳列はしないようにする予定だ。それでも、客が殺到したら手に負えなくなってしまう。店内への入場制限をするべきだろうか?


 色々と悩んでいると、ドロシーが驚きの報告をしに来た。

 ピリヨとリィズがお釣りの計算はまだ出来ないが、商品の金額を合計する事が出来るようになったらしい。つまり、たった1日で足し算をマスターしたという事だ。


「銀貨1枚の商品を23個と、銀貨5枚の商品を9個。合わせて銀貨何枚ですか?」



 最初にミンミに答えて貰おう。


「・・・・・・だいたい60枚」


 残念。全く成長していない。最初っから2、3日で成長するとは思って無いので予想通りだ。今後の成長に期待しよう。



 ピリヨとリィズは両手の指を器用に折り曲げながら計算しているようだが、見ていてもそれにどんな意味があるのか全くわからない。

 ピリヨの計算が終わったようだ。


「銀貨68、?」


 正解だ。あの指の計算でどうやって答えを導いたのかは全くわからないが、計算は合ってる。



「リィズ、次の問題だ。銀貨1枚の商品を19個と、銀貨5枚の商品を7個。合わせて銀貨何枚ですか?」


 今度は繰り上げがあるから、さっきよりも難しいはずだ。ピリヨも計算してるようだが2人とも器用に両手を使って計算している。

 ピリヨの計算が終わったようだが、先にリィズから答えを聞こう。


「……54、?」


 正解だ。2人とも計算の遅さから掛け算は使って無い事はわかるが、本当に1日で足し算をマスターしたようだ。


 ドロシーの教え方が良かったのだろうか? いや、ミンミは全く成長してないからドロシーの教え方は関係ないだろう。

 個人の特性なのだろうか・・・あ!、そういう時は


「鑑定!」


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 ピリヨ 女 11歳 Lv.2


 体力 8/9 魔力 1/1


 筋力 8 知力 21 素早さ 6


 能力 なし 


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 随分とピンキーなステータスをしている。ゲームならこんなキャラメイクも有りだろうが、現実世界では厳しいだろう。実際、体力と筋力が無くて仕事を貰えずにいたんだ。

 俺自身もだが、自分の意思ではステータスを振れ無いのでステータスに有った仕事や生活をしないといけないのだ。



「鑑定!」


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 リィズ 女 8歳 Lv.2


 体力 7/8 魔力 1/1


 筋力 7 知力 17 素早さ 5


 能力 なし 


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 やはり、リィズも似たようなステータスをしてる。2人とも頭脳労働に向いてるタイプだろう。日本でなら働き先も沢山あると思うが、異世界ではなかなか厳しいだろうな。

 ついでにドロシーとミンミも鑑定してみよう。



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 ミンミ 女 15歳 Lv.4


 体力 24/24 魔力 1/1


 筋力 20 知力 11 素早さ 15


 能力 なし 


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 知力は2人と比べたら、かなり低く思えるけどこれが普通のステータスなんだろうなぁ。

 ミンミが計算をマスターするには、まだまだ時間が必要な気がする。



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 ドロシー 女 34歳 Lv.5


 体力 28/28 魔力 1/1


 筋力 24 知力 20 素早さ 19


 能力 なし 


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 今回鑑定して一番驚いたのはドロシーだ。

 なんと、俺よりも年下だった!



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