第11話
「今日はよろしくお願いします」
「うむ。確認だが探している物件は、店舗に使える物で部屋数は最低2つ、出来れば倉庫に出来るくらいの大きさ。で良いね?」
「はい。その通りです」
「条件に合う物件で空いているのは3軒だ。では案内しよう」
★
最初に案内されたのは、異世界にしては珍しい3階建ての建物だった。
入口を入るとドデカいホールが広がっている、どう見てもレストラン用の物件だ。庭まで付いており、ビアガーデン風の事も出来る仕様だ。
中を案内されたが、大きな厨房の他にも多数の部屋があり3階は大広間になっていた。食事だけでなくダンスホールとしても使えそうな広さがある。どう考えても手に余るサイズの建物だ。
「ホーソンさん。大き過ぎます。次の物件を案内して下さい」
★
次に案内されたのは街の外れにある建物だ。平屋建てのこじんまりとした建物だった。
入口を入ると2人がやっと立てる程度のカウンターが見えた。奥には4畳ほどの小さな部屋が2つあったが・・・問題はそこではない。
この異世界のトイレ事情が問題なのだ。
最初にこの街に入った時は、中世っぽい街並みの風景から糞尿は裏の通りにポイ捨てしているのかと思ったが違ったのだ。トイレは小と大を分けられ、小は其々の建物の裏に穴を掘って流す事になっているらしいが、大は
集めているのは身寄りの無い子供達のようだが、子供の仕事としては高給取りで結構人気があるらしい。商業ギルドが直接雇っているようだが費用は国から出てるので、公共事業の一環としてストリートチルドレンに仕事を与えているのだろう。
で、問題というのが・・・
この物件の裏手が回収した
非常に、異常に、カグワしい香りが漂って来る!!
「ホーソンさん。環境が悪過ぎます。次の物件を案内して下さい」
★
3軒目に案内された物件は、2階建てで冒険者ギルドが見えるくらいの場所の立地にあった。
1階の奥に部屋が2つ。2階には3つある。サイズ感も俺の希望にピッタリだ。
案内してくれたホーソンさんの手の平で弄ばれている感がすごいが、この物件にしよう。
だが立地が良いから高いんだろうなぁ。出来るだけ値切ってみよう。
「こちらは、30日で金貨5枚です」
「高けーよ! どうせ空いてる物件なんだからもっと安くしろよ!」
「こちらは金貨5枚です」
「高けーよ! ギルドの紹介で人を雇うんだからもっと安くしろよ!」
「金貨5枚です」
「高けーよ!……この街に娼館って有るのか?俺のオゴリで行こうぜ!」
「5枚です」
「・・・わかった。金貨5枚だな。銀貨や大銀貨で払うけど良いよな?」
「勿論でございます」
商業ギルドの不良物件と思って、ゴリ押しで値引きを迫ったがダメだった。
商業ギルドは国の管理下らしいが、ホーソンさんに賄賂をつかませようと思ったが断りやがった。
この国は想像よりもマジメな人が多くて安心したよ! 俺は昨日、商品を盗まれたけどな!
「じゃあ、明日からの契約にしてくれ。明日の午後、雇う人が決まったら掃除とかして貰うから」
「はい。明日までに書類を用意しますので、雇う人が決まりましたらその後に契約をしましょう」
★
明日の予定まで20時間はあるだろう。その間に俺は日本に転移した。
日本は夕方だった。異世界での20時間は、地球では2時間になるので色々と急がないといけない。
まずは販売する商品の仕入れだ。
前回も購入しに行った百均の店を廻る。俺は基本的に現金で支払う派なのだが、もう元手が無い! 仕方が無いのでガード払いを利用しよう。
このカードは昨年、部長から無理矢理作らされたのだ。取引先の業績を上げる為に協力しろ!とか言われた気がするが、結局作ったのは俺だけだった。命令した部長すら作って無かったのには驚いたが、退職した今になってカードが役に立った。
カードの引き落とし期日までに口座に現金を入れないと大変な事になるが、仕方が無い。
近くの百均だけでは商品が足りなかったので、地図アプリを使って日本中を飛び回って買い付ける事にした。
3回連続で転移を使った所で自分のステータスを確認してみた。
最近全く確認していなかったので、魔力の残量を確認しないと転移出来る回数が解らない。商品は買えたが異世界に転移する分の魔力が残って無いとか、気を失って道端で倒れるなんて事は避けたい。
「鑑定!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Lv.45(NEXT 19/80)
体力 285/286 魔力 136/164
筋力 227 知力 198 素早さ 207
能力 転移魔法【S】鑑定魔法【B】
収納魔法【S】言語理解【S】
称号 【来訪者】【社畜の魂】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オーク狩りのお陰だろう。驚くほどレベルが上がっていた。今ならオリンピックで金メダルを取りまくれるような気がする。
魔力量もエライ事になってる。まだまだ転移が使えるようで一安心だ。あと10カ所ほど百均を廻って仕入れをしよう。
収納魔法に計算上723トンまで入る魔力量だ。新幹線が丸ごと入る容量だが、もはや俺の理解を超えたサイズになってしまった。今後は容量を全く気にする事無く利用出来そうだ。
「よ~し。前回の10倍の量は仕入れるぞー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます