第6話
2度寝を3時間ほどして、目が覚めた。
外は相変わらず薄暗い。
俺は日本では結構な社畜として頑張っている。それでも毎日自宅へは帰るし、8時間くらいは休めている。
毎日、仕事が終わったら異世界に来る事にしよう。毎日7時間異世界で過ごすなら・・・
1日出社、異世界で3日過ごす。このローテーションで行けるのではないか?
つまり異世界に居ない時間は170時間になるが、その分の宿代を払っておけば転移先として常に使えるって事だ。
この世界の1日が24時間なのかは、明日までに解るだろう。
今後必要なのは、寝床の確保と商業ギルドへの登録だ。どちらも金が必要だな。
商業ギルドにどのくらい必要かは解らないが、寝床はだいたいの見当はつく。
今使っている素泊まりで銀貨3枚だ。普通の宿なら銀貨5枚~10枚は必要だろう。
まずは金を稼ごう!
★
冒険者ギルドでホーンラビットの居る場所を聞いて来たが、あまり森の奥までは入りたくない。日中でも薄暗いのだ。木々が繁っている森の中は本当に暗い。出来るだけ明るい所で安全に狩りをしよう。
川沿いに探索していると、初心者と思われる冒険者2人を発見した。どうやらホーンラビットと戦うようだ。俺は邪魔をしないように隠れてその様子を見る事にした。
いくら初心者でも2対1では圧勝だった。だが、ホーンラビットは消える事無く冒険者の2人は川の水を使って血抜きを始めた。
ドロップアイテムになって収納されるのは俺だけって事なのか!?
収納魔法の能力の1つなのか? 俺だけが特別なのか? どちらにしてもバレたら面倒な事に成りそうなので、俺はソロ活動しか出来ないな。
俺はその場を離れ自分もホーンラビットを探す。すぐに見つかりサクッと倒す。もちろん死体は消えてアイテムボックスに送られた。水辺の近くはホーンラビットが割と多くいるようで効率が良い。
3時間ほど狩りをして辺りが暗くなった。木々が邪魔で良くわからないが太陽が沈んだのだろう。
そろそろ帰ろうとした時、ウサギ以外と出会ってしまった。
「鑑定!」
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レッサーウルフ 雄 Lv.5
体力 11/12 魔力 3/3
筋力 15 知力 7 素早さ 10
能力 遠吠えで仲間を呼ぶ
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これは、、、ホーンラビットと比較したら中々に強い。が、盗賊よりは弱いな。
レッサーウルフは一直線に俺に向かって来た。
遠吠えで仲間を呼ばれてもめんどうなので、鉈を思いっきり振り下す。渾身の1撃をくらったレッサーウルフは。そのまま倒れた。
直後、レッサーウルフが姿を消しアナウンスが流れた。
ーーーーーーーーーーーーーー
レッサーウルフを倒しました。
経験値 5を獲得
レッサーウルフのジェムを獲得
レッサーウルフの牙を獲得
レッサーウルフの皮を獲得
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なかなか良い感じのドロップ品を取得出来た。売値次第だが、レッサーウルフを狙って狩るのも良いかもしれない。
★
「えーっと、合計金額が大銀貨2枚と銀貨2枚になります」
冒険者ギルドで今日の戦利品を全部売却した。
レッサーウルフのドロップはホーンラビットよりも高値で売れた。
「ありがとう。……あの、レッサーウルフ以外にも高く買い取ってくれるヤツは近くにいますか?」
「そうねぇ。オークは高いわよ。でも肉が高いのよねぇ。だから運ぶのが大変なのよ」
それなら俺には収納魔法が有るから最適な相手だろう。倒せるなら・・・
明日はオーク狩りをメインに探索して見よう。
★
今日は朝からオーク狩りだ。昨夜ギルドで教えて貰った東の森へ来ている。
10分ほど探索していると早速発見した。オークは想像よりも大きく、背丈は2mを超えていた。
「鑑定!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オーク 雄 Lv.5
体力 31/32 魔力 2/2
筋力 35 知力 4 素早さ 7
能力 なし
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あら、結構強くないか? あの盗賊と良い勝負するだろうな。
俺は後ろから静かに近付いて行き、一気に間合いを詰めて首を撥ねた。
直後、オークが姿を消しアナウンスが流れた。
ーーーーーーーーーーーーーー
オークを倒しました。
経験値 22を獲得
オークのジェムを獲得
オークの肉を獲得
ーーーーーーーーーーーーーー
経験値がウマイな! これは嬉しい誤算だ。
いくら筋力や体力が高くても、1撃で仕留めれるなら全く問題ない。
★
「今日はオークを狩って来たんだけど、肉はどこに出したら良いかな?」
「それでしたら奥の部屋に納品して下さい。係りの人から札を受け取って、こちらに出して下さい」
「ありがとう。納品したらまた来るよ」
俺は奥の部屋にオークの肉をドサドサッと収納魔法から取り出して積み上げた。
倒すと同時に収納されるから気が付かなかったが、オーク1匹で100Kg近くの重さの肉だった。
オーク以外の肉も次々に積み上げていくと、係りの人の顔がドンドン青ざめていく。
「あ……あの、これで、終わりか?」
「はい。今日はこれだけです。解体はされているので、あとはお願いします」
「ハァ。君! これを解体とは言わないんだよ! 見た所、血抜きは終わってるようだが、こんな大きな塊で誰が買うって言うんだ? 第一、誰も持ち運べないだろ?」
今の俺なら100kgくらい簡単に持ち運べるが、普通なら無理だろうな。収納魔法も完璧という訳では無いようだ。
「こりゃあ、徹夜だな……朝まで終わるかぁ? ・・・まぁ良い。これを受付に出したら金が貰える。邪魔だ、サッサと行け!」
渡された木札には、種類や数量、解体費用、それと担当者のサインがされている。これを受付に出せば良いのか。
受付のお姉さんの眉毛がピクピクしている。
「ヒーロさん。この納品は本当なの? ソロでの活動よネ? 1日でこの量を狩って、持ち帰ったって事かしら?」
「うん。その通りだ」
とうとう、お姉さんに俺の名前を覚えられてしまった。俺も同じお姉さんばかりに話しかけているので当然の結果とも思える。ただ、俺は
だが、この国の人達の外見は日本人離れしている為、表情から察するのが難しいのだ。黒人系だとは思うがアフリカ系でもインド系でも無い独特の進化を遂げているようだ。美的感覚も日本人の俺とは違うようで、女性の多くが瞼に白い化粧をしている。パンダっぽいというか、リアル山姥メイクというか、そのせいも有って表情が良くわからないのだ。
「え~とぉ。合計金額は金貨5枚と大銀貨3枚と銀貨4枚、それと大銅貨6枚になります♡ また私の所に来てネ♡」
なんだろうな。一瞬、背筋に寒気が走ったような気がした。
……気のせいか? 気のせいだよな? 気のせいで有って欲しい!
あまりギルドに長いしても、メスライオンに俺が狙われそうなのでサッサと帰ろう。
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