第2話
「やばい! 俺・・・寝てたのか?」
体中が痛い。硬い石畳の上で寝ていたからだろう。
携帯の時刻を確認すると11日10時13分、10時間ほど寝てたようだ。
今日が休みで良かった。平日なら完全に遅刻だったな。
えーと・・・たしか・・・
出口を探して鑑定してて、めまいがして・・・魔力が尽きて倒れたのか?
「鑑定」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Lv.2(NEXT 00/20)
体力 35/35 魔力 10/10
筋力 34 知力 25 素早さ 22
能力 転移魔法【S】 鑑定魔法【D】
称号 【来訪者】【社畜の魂】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おお!魔力が10になってる。
レベルも上がって、全体的に微増だが確かにステータスが上がっている!
じゃあ、自宅を思い出して・・・
「転移!!」
自分の部屋だ。帰って来れ・・・た・・・
ドサッ
★
「やばい! 俺・・・寝てたのか?」
いや、魔力が切れて倒れたんだろう。
携帯の時計を確認すると9時57分だ。
「え?」
転移する前に見た時は11日10時で、今が9時?
俺って24時間くらい寝てたのか?
そして、遅刻確定か・・・ヤバいなぁ。会社どうしよう・・・
うーーん。 良し!仮病に
午前中は病院に行った事にして、午後から出勤なら何とかなるかな。
そう思い会社へ連絡をしようと携帯を見て気が付いた。
「11日9時58分?」
どういう事だ??
コンビニを出た時間が10日23時
異世界で目覚めたのが11日10時
そして、今が・・・・11日9時
「時間が巻き戻ったのか?」
・・・いや、流石にそれは無いだろう。
ステータスにも時間に関しての能力は表示されてなかった。
「異世界と地球では時間の流れが違うのか?」
・・・異世界では携帯は圏外だった。電波は無くても時計は進む。だが地球に戻って電波が復活したら、正しい時間に自動修正される、って事なら可能性はあるか。
確かめるには異世界にもう一度行く必要性があるが、今のまま異世界に行っても着いた瞬間にまた気を失ってしまう。
異世界に行く前に、地球でレベルアップが必要だ。
鑑定しまくっただけでレベルが上がったんだから、筋トレもしたら上がりやすいかもなぁ。
だが、今はもっと重要な事がある。俺の体感時間で20時間くらい何も食べて無いのだ。
「腹へったな・・・」
昨夜コンビニで買った物は気が付いたら持っていなかった。たぶんトラックの時に落としたのだろう。
ヨレヨレのスーツから着替えて、コンビニへ向かうと店の前の信号機がへし折られてた。
やはり、あのトラックは夢では無かったようだ。
あの時のメールは何だったんだろう。ただのイタズラが偶然、タイミング良く来ただけだったのだろうか。
文字化けしていて誰から来たのかも解らないから、考えても無駄だろう。
★
異世界から戻って2週間。毎日俺は気を失うギリギリまで鑑定を使い、自宅では筋トレも行った。
仕事中は、出来るだけ階段を駆け足で登り、座る時は体力が持つギリギリまで空気椅子をしてみた。
そして現在のステータスはこんな感じだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Lv.21(NEXT 17/50)
体力 59/59 魔力 34/35
筋力 54 知力 41 素早さ 40
能力 転移魔法【S】 鑑定魔法【B】
称号 【来訪者】【社畜の魂】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全体的にかなり能力値が上がっている。
最初は馬鹿馬鹿しかった空気椅子も今では1時間以上継続出来るようになった。
鑑定魔法も上がって詳しい事がわかるようになった。最初は自分以外の人間を鑑定しても性別しか解らなかったが、今では名前や年齢も表示されるようになった。もっとレベルが上がればスリーサイズも見えるようになるのだろうか?
転移魔法は知っている場所なら地球から地球でも、転移出来る事がわかった。試したのは会社のトイレから自宅までだったが、帰りがラクで良い!出勤は会社のトイレに誰か入っていたら大変な事になるのでマジメに通勤している。
魔力の回復はおよそ6時間で全回復するようだ。何度も時間を計って確かめたので合ってると思う。
今日は2週間ぶりの休みだ。これから異世界へ行って時間の流れが違うのかを確認する予定だ。
百均で購入した全く同じ置時計を秒針まで揃えて、片方を自宅に置く。
異世界の教会のようなあの建物を思い出しながら・・・
「転移!」
ふぅ、無事に到着だ。だが相変わらず暗い。
これも予想して俺はLED式のランタンを用意して来た。流石に携帯のライトだけでは心もとなかったのだ。
まずは、並んでいる長椅子の最前列に置時計を置く。ランタンで照らすと秒針が動いているのがわかる。
地球に戻るのは、1~2時間してからで良いだろう。それまでに建物の出口を探して、周囲を探索しよう。
前回、俺が倒れていた辺りから鑑定を使って隠し扉を探す。
扉は2回目の鑑定で見つかった。だが、ドアノブも何も無い。どうやって開けるんだ?
押しても……開かない。
引く……ような持ち手も無い。
横にスライド……も出来ない。
仕方が無いな。昔のアニメで見た方法を試すか・・・
「扉ってーのは、ブツけりゃ、壊れるものだーー!」
俺は思いっきり扉目が掛けて体当たりをした。
ゴゴゴゴゴ
扉が30cmほど開いた。
「昔のアニメは正しかったな。だが肩が痛い」
扉の隙間から外を覗いて見るが、はやり薄暗い。
下草は20cmほどの高さで繁っており、木々も沢山生えている。どうやら森の中のようだ。人の気配も野生動物の気配もしない。
俺は左手にランタンを持ち、右手には金属バットを持って扉の隙間を押し広げながら外に出た。
建物の周りを1周したが、特に何も無かった。
もう少し遠くまで探索するべきだろうか?
・・・いや、危険を犯す必要はない。行くならもう少し装備を考えないとな。近所のゴミ捨て場から拾って来たバットでは厳しいだろう。
扉の隙間から中へ戻ろうとした時、草むらがカサカサッと鳴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます