第6話:だから彼女になってあげる。

「て夏さんがいてもいないくても私、早生の命を救いに来てたと思うし」

「それに前にも言ったけど、早生、夏さんと別れるよ」

「それも運命だから・・・」


(それもメルバが未来から来たことで俺の運命も夏の運命もが変わったって

ことなのか?)


「とにかく、私はもう未来には帰らないつもりだから・・・」


「困ったな・・・俺は彼女も大事だけど君のことも・・・その・・・」


「え?私のことも?」


「正直に白状するけど・・・俺、メルバのことが好きになってる」

「いや、好きって感情以上だよ・・・」


「いいよ・・・私はもともと未来で、あなたに好意を持ってたから」

「でも、あなたから歳が離れすぎてるからダメだって言われたの」

「でも、今のあなたとなら大丈夫・・・だから彼女になってあげる」


「まじで?・・・彼女に?・・・なってくれるの?」


早生はたちまにエロいことを考えた。

メルバとできるって思った。


「ああ〜でもな〜それは嬉しいけど・・・だけど俺には夏がいる、二股は

かけられないよ」


「別にいいじゃないの、彼女がふたりいたって・・・」


「彼女がふたりって・・・そんなのうまく行くはずないじゃん」


「夏はヤキモチ妬きだから・・メルバのこと知ったらタダじゃすまないよ」

「あ〜あ、憂鬱だな・・・」


「分かった・・・ちょっと行って来る・・・」


「え? え?・・・メルバどこへ行こうっての、もう夜だよ?」

「夏のところ?・・・住所知らないだろ?」


「トイレ・・・」


「え?」


「だから、漏れちゃう・・・バイオロイドでもおしっこするからね」


「あ〜・・・」


そして、その恐れていたことがやって来るのだよ。


改めて今の俺の彼女を紹介しておくとだな。

彼女の名前は「日向 夏ひゅうが なつ」俺とは同い年・・・髪が長く

ワンレン、茶髪・・・身長はたぶんメルバより高いと思う。

お勤めは某、美容室。


そして夏の美容室が休みの火曜日・・・なんとなくだけど俺は嫌な予感が

してたんだ。

今日あたり、そろそろ夏がやってくるんじゃないかって思った。

その予感は当たっていた。


そして、その日、夏から連絡があって今日、遊びに行くからって・・・。

俺は夏がマンションに訪ねて来ることを気にしながら、それでもメルバと

話をしたりテレビを見たりして気を紛らわしていた。


なんとなく俺は暗闇の中に女性ものヒールの音がこちらに向かって

近ずいて来るような気がした。

なんせ夏はヒールの高いサンダルを履いてカンカン音を立てて階段を上がって

来るからな。。


そして、つに夏がやってきた。

夏が階段を上るヒールの音がした。


「メルバ、夏が来たみたいだ」


「早ちゃん〜いる〜?」


夏の声がした。


「ついに新旧対決だね、早生・・・覚悟決めなくちゃ」


「そうなんだけどさ、今日はなるべくそれは避けないんだ」

「やっぱりメルバのことが夏に見つかるのはマズい」

「悪いけど・・・しばらくそこの押入れに隠れてくれる?」


「すぐ返すから・・・」


「ええ?女同士のバトル勃発じゃないの?」


「悪い・・・窮屈だけど我慢して」


「いいけど・・・こんなことしたって今だけだよ、いずれバレるよ」


「いいの、とりあえず今だけしのいだらあとは考えるから」


「いまここで現、彼女さんと白黒つけたほうが・・・」


「いいから押入れに入って・・・早く、早くほら・・・入って入って・・・」


「早ちゃん」


いきなりドアを開けて夏が入ってきた。


間一髪。


「あ、早ちゃん・・・いたいた」


「お、夏 いらっしゃい・・・最近来なかったけど、体大丈夫か?

仕事忙しくないのか?」


「何言ってんの?・・・変な人・・・普段そんなこと言わないくせに」


「クンクン」


「・・・ちょっと・・・なんか・・・匂わない?」


「何が・・・・?」


「女の匂い・・・」


「来るなり、なにバカなこと言ってんだよ・・・んな訳ないし・・・」

「トイレに新しい芳香剤買ったから、それだろ?」


「だよね〜・・・」


「あ〜あ、疲れた・・・ねえ、聞いてよ」


始まった・・・夏の愚痴が・・・。


つづく。

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