第5話:彼女、夏の存在。

メルバが早生そうせいのマンションにやって来てから三日経った。

メルバが言ったとおり彼女の作る料理は最高に美味かった。


ファミレスなんかに行くよりずっと美味いしバラエティーにとんでいる。

早生は高級レストランなんか滅多に行くことないけどメルバの料理は高級

レストランに匹敵するんじゃないかってくらい美味しかった。


ふたりで朝食を食べて、ふたりで昼ごはんも食べて、そしてふたりで

晩ご飯を食べる。

まるで新婚さんみたいに・・・。


ただメルバの妖艶さと色気は早生の心を乱した。

ふるいつきたくなるようなエロい体・・・そのままソファに押し倒したくなる衝動。

その衝動をこらえるのが大変だった。

いつも他のことを考えて、彼女を犯したいって気持ちをごまかした。


早生はメルバが未来から来たなんてキューブを見ない限り忘れてしまいそうだった。


(あ、ミカンちゃんを見ると思い出すか)


「どう?・・・美味しい?」


「うん、美味い・・・めちゃウマ」


「料理上手いね・・・いいよね、料理が上手な奥さんって」


「そうだね、早生も将来料理が上手な奥さんもらわなくちゃね」

「もしかして、メルバ・・・その俺の奥さんになる女性って知ってたりして?」


「そうだね・・・知ってるよ」


「え?・・・知ってるの?・・・誰?それ・・・」


「知りたい?」


「ああ・・・やめとく・・・今、知っちゃったらめちゃその子を意識しちゃうから」

「それに俺が想う子じゃなかったらショックだし・・・」

「あのさ・・・まさかだけど、その相手って夏?・・・とかじゃないよね」


「ブッブー・・・はずれ・・夏さんとはいずれ別れることになるから」


「まじで・・・ああもういいや・・・先のことは知らない方がよさそう」


「そうね・・・きっとその時が来たら分かるよ・・・」


(夏と別れるって?)

(だけど今は夏と付き合ってるんだから、夏がここに遊びに来てメルバを見たら

絶対誤解を招くよな・・・まさかそれが夏と別れる原因?)


三角関係のはじまりじゃないけど・・・最近、夏の態度も冷たいしメルバの

存在は余計トラブりそうだった。

メルバがここにいる以上いつかは夏にバレることは早生には分かっていた。


(でも一応気をつけなくちゃいけない・・・夏は美容師だから火曜日が休み・・・

だからたいがいは火曜日に俺のマンションを訪ねてくる)


早生はカメラマンで不規則・・・だから夏が早生のマンションに来るときは

必ず連絡して早生がいることを確認してから来る。

その時だけメルバをどこかに追い出すって・・・わけにもいなかい。


(メルバにキューブにでも入っててもらうか?)

(それとも仮に押入れにでもメルバを隠して置くとか・・・)


最近は夏も最初の頃と違って早生の部屋に泊まって帰るってこともなくなって

きてる。

来てもしばらくいて帰っていくことが多くなった。

気持ちのすれ違いもあって、なんとなく新鮮ささえ失ってる。

エッチだって、いつからしてないのか忘れてるくらいだ。


だからって夏のほうから別れたいとは言わない。

早生は正直どっちでもよかった。

夏が別れたいっていうならそれでもいいと思っていた。


それにはメルバの存在が大きかったかもしれない。


メルバと言う存在が早生から夏を遠ざけたいって打算的気持ちの原因に

なってることはいなめない。


(俺って薄情な男だ)


気持ちが夏からメルバに傾き始めてる・・・そんな自分に嫌気がさして

自己嫌悪に落ちいる早生だった。


(いっそメルバのことを夏に言ってしまったほうがいいのか?いずれお互い

顔を合わすのなら・・・)


「メルバ・・・実は話があるんだけど・・・」


「夏さんがいるから未来へ帰れって言っても私、帰らないからね」


「帰れなんて言わないよ・・・そういう話じゃなくて」

「隠してたって、いずれバレると思うから言うけど・・・夏のことなんだけど」


「ごめんね、夏さんがいるのに私が押しかけてきちゃって・・・」


「いやいや、メルバは何も悪くないよ」


「でも夏さんがいてもいないくても私、早生の命を救いに来てたと思うし」

「それに前にも言ったけど、早生、夏さんと別れるよ」

「それも運命だから・・・」


(それもメルバが未来から来たことで俺の運命も夏の運命もが変わったって

ことなのか?)


つづく。

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