45話、砂遊び


「さ、遊ぶわよ!」


聖女様のお仕事が終わったようで、それからすぐに砂浜に向かった。

聖騎士団総出でパラソルなりなんなりを設営し、そこで優雅に寛いでいる。遊ぶってなんだろう。


「海って、泳ぐ以外にどうやって遊ぶのかしら?」


やっぱりわかってなかったのか。

いやしかし、海で遊ぶというのは…… ビーチボールとか、スイカ割りとか…… ああ、あとは普通に砂遊びか。


「城とかつくります?」


「いいわね! 砂で造形バトルよ!」


あ、バトルなんだ。聖騎士団もやる気になってる。


さて、じゃあ何をつくろうか。言い出しっぺで城でも建てるかな……

どうせなら和風のにしようか。石垣、天守、御殿。城下に、お堀。大砲は…… 時代考証的に必要ないか? 堀の向こう側に、城下町もつくろう。瓦葺の屋根に、用水路、畑に…… まあこんなもんか。


「出来ましたよー…… みんなこっち見てどうしたんですか?」


聖騎士団、聖女様、みんながこっちをみている。なに?


「いや…… なにそれ?」


「なにって…… あれ、下手すぎました?」


「いやいや、あのね、砂遊びよね? これ全部、砂よね? ……ガチすぎない?」


「アマツカ殿、これは…… やりすぎでは?」


あちゃ、ちょっと熱が入りすぎたかな。

昔から、こういう細かい作業が好きだったのだ。久しぶりに遊べて楽しかったせいか、やりすぎたみたい。


「いやでもすごいわね…… ねえ、こことか凄くない?」


「あえて綺麗に整えない事で、リアリティが出ていますね。造形芸術家としても食べていけるのでは?」


「私は絶対手放さないけど、もしもの時はそういう道もあるわね……!」


めちゃくちゃ好評だ。自分の作品が褒められるのは嬉しいなあ。


他の人は、座った馬とか、王城のデフォルメとかをつくっていた。どれもクオリティが高い。


「聖女様のそれは、人ですか?」


聖女様は、人型の物をつくったようだ。

誰だろう、見たことないかもしれない。


「これは女神様よ! 教会にある聖像とは少し違うけれど、こっちのほうが本物に近いと思うわ!」


教会に行ったことがないからわからないけど…… しかし、とても綺麗だなあ。

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