31話、ドラゴスライム目撃情報


「ドラゴスライムの目撃情報が出たわ! その調査と、あわよくばテイムをしてきなさい!」


「か、かしこまりました!」


前回の仕事を終えた、二日後。

今日も今日とて聖女様に呼び出され、依頼を受ける。


ドラゴスライム。

ドラゴンのような羽を生やし、ブレスを操るとされるスライムだ。

とても珍しく、しかも素早いため、討伐例はもとより討伐例も少ない。

噂では、ドラゴンの死骸を食べたスライムが、残留したドラゴンの魔力でそのように体を変化させる、というが。あくまで噂だし、ドラゴンの死骸なんてものはスライムの手の届くところには絶対に無いものだそうだ。


「場所は王都から三日ほどの渓谷よ! 調査兼障害排除要員として騎士団と騎士見習いを付けるから、ロスも連れて行っていいわよ!」


「ありがとうございます!」


五十メートル以内を騎士で固めれば、不意打ちをされる事はほぼないだろう、ということか。

あとは、ドラゴスライムを呼び寄せる可能性も考えて、かな。ちょっと不安だけど、騎士団がいれば安全だ。なにせ、ヴァルさんくらいの強い人が十何人いるんだから。


「そうね、あとはメイドも三人連れていきなさい!騎士団にも女の子は居るけど、メイドのほうが気遣いができるでしょ!」


至れり尽くせりだなあ…… ドラゴスライム、ほんとに珍しいからね。ペットとして飼えるならそれだけでステータスになるだろう。頑張って献上しなきれば。




自宅にて、旅の準備をする。

といっても、ほとんど向こうが用意してくれるので、着替えてラピスとラズリとドさんに報告をするだけだ。


「ロスのこと、頼みますね」


「二人とも、怪我しないように!」


「ほら、弁当だ。さすがに三日分はねぇが、今日の昼に食え」


「ありがとう。行ってきます!」


「いってきます!」


ロスを連れ、王城近くの騎士団訓練所へ向かう。

王城にロスは連れて行けないので、そこで待ち合わせとなったのだ。





騎士団訓練所に到着。

訓練所は広く、馬で走り回れるくらいだ。実際にそういう訓練をするようだが。


「やあ、久しぶり」


……そんな場所に、何故この人が。


「あ、えっと、お久しぶりでございます」


「ふふ、そんな固くならなくていいよ。今日の僕は、騎士見習い、って事になってるからね」


助けを求めるように、近づいてきていたヴァルさんを見る。


「アマツカ殿、聖女様からの伝言だ。『第二王子については、気にしなくていいわ。スライムオタクはドラゴスライムが気になるだけよ』だそうだ」


「うんうん。僕はドラゴスライムの情報が欲しいだけだよ。でも、君と一緒に旅が出来るんだ、どうせなら、お話しもしたいと思っているよ?」


「あ、じゃあ、お時間があるときにでもお願いしますね」


「ん。楽しみだなぁ、ドラゴスライム!」


厄介な事……ってほどでは無いが、ちょっと大変な事になってきたなあ。

ロスの事、話してもいいのかな。

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