27話、雨の影響
「やはり、この雨……」
ぬかるんだ地面に手を当て、ヴァルさんは呟く。
あ、やっぱり原因は雨だったのかな?
「強力な魔力が含まれている。魔物由来のものだから、草木には影響はほとんどないだろうが…… これでは、弱い魔物は恐ろしくて近づけないだろうな」
つまり、この雨は強い魔物によるもの、という事か。
うーん、みんな隠れているとすれば、今日は仕事にならないぞ……
「隠れ場所を見つけるか、離れたところを探すか、諦めるか、ですかねえ」
「そうなるな。乾きさえすれば、影響もほぼ無くなるだろう。奥に向かうのは危険だ、今日は諦めよう」
ヴァルさんがいうなら、仕方ない。
しかし、はた迷惑な魔物だなあ。会ったら文句言ってやらないと!
「大方、ドラゴンだろう。水属性のドラゴンは雨を運ぶと言われている。ないとは思うが、万が一でも戦って勝てる相手ではない。見かけたら逃げるように」
ドラゴンならね、仕方ないね! 文句なんて言いませんよ、はい。
しかし、ドラゴンかあ。スライム図鑑には、ドラゴスライムというのも載っていた。そっちは、いずれ出会いたいな。
どうしようもないので、今日のところは帰る。
門を抜けて、自宅の方まで歩く。
どうせならと、道中で持ち帰りのご飯を買った。うちの料理人のドさんがつくったもののほうが美味しいのはわかっているけど、たまにはジャンクも食べたいのだ。
「私はいい。騎士は食事も厳しく管理されているのでな」
わ、栄養管理までされるんだ。体づくりも大変だねえ。ていうか、ちゃんと栄養の概念もあるんだ。タンパク質とってそうな体だもんなあ。これも昔の聖女様の教えかな。
「あ、じゃあ聖女様にコレを」
カステラのようなお菓子を買ったのだ。これは懐かしい感じがするだろう。
この前、美味しいものは食べれてるけどおやつ系がものたりないと嘆いていたからね。
和菓子みたいなのがあればいいんだけど…… さすがにまだ見かけない。
「しっかり渡しておこう。聖女様も喜ぶだろう」
聖女様は、ほんとうはこういう贈り物を受け取れないんだけど。私からのものは、騎士を通したら受け取れるようにしたらしい。信頼されてる。かわいいね。
「明日またお願いしますね」
「ああ、また朝に迎えにこよう」
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