25話、メタルゲルスライムの能力


ひとまず三十匹のノーマルスライムをテイムし、一旦帰ることにした。


「とりあえず、今日の分を聖女様に納品するか?」


「そうですね、手元に置いておくのもちょっと」


三十匹のノーマルスライムを家で抱えておくのはちょっと難しい。聖女様は百匹のノーマルスライムを飼えるのか……? まあそれは私の考えることではないか。


森を出て、王都へ帰還。

周りの目も、もうあまり気にならなくなってきた。ヴァルさんが横にいるので、無闇に話しかけられたりしないし。




王城に到着。

聖女様に取り次いでもらい、面会へ。

今日は運良く時間が空いていたようだ。よかった。


「ノーマルスライム、ひとまず三十匹を持ってきました」


「あら、思ったより順調ね! いいじゃない」


聖女様はご機嫌のようだ。

ノーマルスライムを引渡し、いつものように二人きりの雑談タイムに。


「そういえば、珍しいスライムを手に入れたんです」


「へえ、なにかしら? メタルスライム?」


「メタルゲルスライムってやつです」


「あら、メタルスライムより珍しいやつじゃない! 良かったわね。それも十匹でスキル貰えるのかしら」


珍しいスライムを十匹、百匹はさすがに大変そうだなあ。いずれ、いずれね。


「で、ですね、私、能力コピーっていうスキルも持ってたじゃないですか」


「あー、あったわね」


「それで、ちょっと…… メタルゲルスライムの能力をコピーできて、使えるようになったんですけど……」


「いいじゃない、新しい能力! ……また微妙なの?」


う、うん…… 微妙というか、その…… ねえ。


「ゲル化、って言うんですけど」


「……名前からしてなんというか、微妙というか使いづらそうというか。大変ね」


「大変なんですよ。使いどころが……」


ゲル化。メタルゲルスライムの能力のひとつ。

体をゲル状にできる。

……私、人間よ? 体をゲル状にしてどうしろと?


「体内保管と組み合わせると有用性が……いや、ちょっと無理ね、キモいわ」


「ですよね。指で試してみたんですけど、気持ち悪くて」


でろでろになった自分の指をみて、マトモでいられる? 私は無理だった。


「他の能力とかで有効活用できるようになるまで、封印ね!」


有効活用できる未来が見えないけど……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る