20話、また新しいスキル
「ご苦労様! 予想以上の成果だから、報酬には色を付けるわ! セバス、五割増よ!」
「かしこまりました。では」
聖女様の一声で、執事のセバスさんが部屋を出る。
それにあわせて、護衛のヴァルも退室した。
今は、いつもどおりの流れで、聖女様と私の二人きりだ。
「で? どうして早く済んだの?」
聖女様が、肘置きに肘を置き、顎を手のひらにおいて、首を傾げて私に問う。仕草があいらしい。しかし、すこし疲れたような顔をしている。聖女としての執務も大変なのだろう。
ともかく、今回の顛末を報告する。
「つまり、魔族のロスは、近くの魔物を引き寄せるのね? でも範囲はそんなに広くはない。街に居ても問題は起こらない。そうね?」
「今のところは、そうです」
「そうね、今のところは、報告通りなら、ね…… ……それも調べるか」
最後はボソッと言われたので、私には何を言ったか聞こえなかったが。今のところは、という注釈がついてしまうのは痛い。どうにか出来たらいいんだけど……
「で、今回はどうだったの?」
「スキルですよね。レッサースライム、百匹でひとつ、またスキルがもらえましたよ」
聖女様の読み通り、十匹だけでなく、百匹でもスキルがもらえた。そして、もうひとつ、報告が。
「それでですね、次は五百でも貰えるみたいです。今回、百の報酬を貰った時に、天の声が言ってました」
「これからは、次のボーダーがわかるようになった、ということね。それは良いわね!」
疲れているだろうに、とびきりの笑顔をくれた。ありがとうございます。
「で、レッサースライム百匹の報酬が…… 『消化器官強化』、でした」
「消化器官、強化」
「はい、消化器官強化です」
「…………え、どう使うの?」
「なんか、口から肛門までが、強くなるみたいです。胃が荒れづらいとか、お腹壊しづらいとか……」
「ま、まあ…… 無いよりはあったほうが嬉しいスキルね。体内保管のほうが良いスキルだったわよね? 十より百のほうが良い、というわけでもなさそう? でも、もしかするとものすごいスキルかもしれないし……」
いや、微妙なスキルだと思います。こっちの世界にきてから今のところ胃荒れも腹痛も無いし、有用性が今のところ無い。
「今のところ、当たりはないですねえ」
「もう少し珍しいスライムのほうがいいのかしら……?」
レッサーとノーマルではダメ、という事か。そうかもしれないなあ。
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