18話、特殊な体質


「ロス、君はなにか、特殊な能力はあるのか?」


ヴァルが、言葉を選ぶように、ゆっくりとロスに問う。

そう、たとえば…… 魔物を呼び寄せてしまう体質だとか、呪いだとか、種族特性だとか。そういうのがあるのかもしれない……?


「ロス、いい匂い、魔物、あつまる…… 父、言ってました」


ロスは確かにいい匂いがするが。そういう感じかあ。

前回もそれで襲われていたのかもしれないな。


「どれくらい強いんだ、それは」


「えと…… 五十マル、とどく…… ながさ、人間、おなじ?」


「五十……マルというのが単位か。たしか…… 魔族の使う単位の中にあったような…… どの種族だったか。いや、それはいい。人間の使うメートルと、ほぼ同じ長さだったはずだ。つまり、約五十メートルか。匂いなら、風向きにもよるだろうが」


メートルなんだ、長さの単位。やっぱ昔の聖女様とかが制定したのかな。

そういえば時間も十二分割の二十四時間だったし、ドさんとラピスの会話でも重さのキロが出てきてた気がする。文化汚染……? いやいや。


「危険なところには連れていけないですねえ」


「もとよりアマツカ殿も危険な所へは連れていけないので、それは問題ではないが……」


今のところ、草原と森だからね。草原なんてレッサースライムとツノウサギしか出ない。森はちょっと危ないけど、それでもヴァルさんなら問題ないだろう。……でもロスを危ない目に合わせたくないから、お留守番も視野にいれないとな……


「ま、今日は草原の浅い所までで用を済ませて、安全第一でいきましょう。レッサースライムが集まるのは助かりますし」


「それもそうだな。百匹ときいたときは聖女様のお言葉を疑ったが、ロスがいれば今日で済ませられそうだ」


「ロス、べんり?」


「うんうん、とっても助かるよ! ありがとね、ロス」


「ふふん……」


ああもう可愛い。

そんな事を話してる間にも、レッサースライムは続々と集まってきている。

片っ端からテイムしているが……


「ほお、土の中から這い出てきたぞ。これは知らなかった。レッサースライムは土中にも居るのだな」


お、多い。半径五十メートルにいるレッサースライム、多すぎる……!

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