10話、ノーマルスライム


「今日は普通のスライムを十匹よ! レッサーじゃないからね!」


「かしこまりました!」


「ヴァル、今日も任せたわよ!」


「はっ」


休み明け、朝。

予定通り聖女様に呼び出され、次の依頼を受けた。

今回は、普通のスライムが十匹。

単にスライムと呼ばれたり、他のと区別するためにノーマルスライムと呼ばれたりするらしい。

基本的には森に居るが、たまにレッサーと同じく草原にも現れるという。

レッサーより大きいため、運が悪ければ足を取られて転倒したり、死ぬほど運がわるければ顔に張り付かれて窒息したりするらしい。大きさ以外はほとんどレッサーと変わらない。




というわけで、冒険者装備に着替えて、ヴァルさんと共にまた王都の外へ。


「その装備、中々しっかりしていて良いな」


「あ、騎士の方からみても問題ないですか? よかった」


「森に入るからな、最低でも靴は、と思ったが杞憂だった」


今日は草原をこえて、森に入る。

スライムは、やはりそこそこいるらしいので、今日もサクッと終わらせてしまおう。




森の手前、草原と森の間には、草があまり生えていない。

そこで、ひとつ問題が発生した。


「ツノウサギか。一応、処理しておこう」


鋭い角の生えた大きめのウサギが、森から出てきてこちらに気付いた。

あれは魔物だ。こちらに向かって、跳躍する。

ザン、と、ヴァルが振った剣がツノウサギを捉え、両断する。まさに一刀両断。すごいなあ。


「ふう。ツノウサギのツノは、安いが冒険者ギルドで買い取ってもらえる。どうする?」


「ヴァルさんが戦ったので、ヴァルさんが持ち帰るべきでは?」


「私は給料分で足りているからな。……いや、貰っておこう。アクセサリーにでもして、孤児院に寄付するか……」




それからは特になにもなく森に到着。

鬱蒼と繁った…… と言いたいところだが、森の入口あたりは結構明るく、木々が疎らだ。

伐採の影響だろう。ところどころ、切株が残っている。


「いたぞ、アレだ。……すこし大きいか」


ヴァルさんが指さす先には、切株。

その切株に覆い被さるように、半透明のぷにぷにがあるのを見つけた。


「よし、テイム!」


まずはスライム、一匹目。

あと、納品分は九匹だ。

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