11話、拾い物


順調にテイムしていき、十匹はすぐに集まった。

スライムはやっぱり、ほかの魔物より多いみたいだ。


「集まりました!」


「よし、では戻ろうか…… まて、なにか来る」


またトラブル? 魔物かな。

警戒して少し待つ。


「……人か?」


茂みの間から、人が飛び出してきた。

飛び出してきたというか、吹き飛ばされてきたというか……


「まずい、伏せておけ!」


ヴァルさんが叫ぶ。とりあえず伏せて、それから周りを見てみる。

吹き飛ばされてきたのは、子供くらいの大きさ。顔は女の子っぽい。大丈夫だろうか。呻いているので、死んではいない。

そして、吹き飛ばした側。

ヴァルの前には、鋭い爪と牙をもった、二足歩行のオオカミがいた。


「ベアウルフか。厄介だが、護衛が私で良かったな」


ヴァルさんの一刀で、ベアウルフの片腕が吹き飛ぶ。

続いて、もう片腕も。そしてすぐに、首もとばされた。


「ふう。ベアウルフは魔法を使う。伏せておけば、はじめに立っている私を標的にしてくれるからな。私は低級魔法無効化のアクセサリーを持っているから、魔法を放たれても対処は楽なのだ」


なるほど、にしても、魔法…… 発動はされなかったけど、怖いな。


「ありがとうございました。……この子は、どうしましょうか」


倒れている女の子を見る。

顔立ちはかわいいが、汚れている。怪我も酷い。

フードが外れ、頭に小さな角があるのが見える。


「……魔族か。本来なら、見逃したりせずに処分すべきだが」


「し、処分って…… どうにかなりませんか」


「うーむ…… 助命したいのであれば…… まずは王都の外にある樵の小屋に匿ってもらい、それから聖女様に話を通そう。子供の魔族であれば、奴隷として飼うことは許されるかもしれない。許可をいただけたら、奴隷商で契約をするために王都に連れていく、という流れになる」


ど、どれい。まじですか。

いやしかし、ここで見捨てるよりは、私が飼うほうがマシだ。いや、私が飼う。可愛いし、見捨てたりなんかできない。


「わ、私、この子を助けたい」


「……私も、聖女様にお願いしてやろう」


ヴァルさん、無表情クールお兄さんかと思ったけど、意外に優しいんだよね。助かる。

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