8話、お買い物


レッサースライムを納品した日の翌日。

呼び出しは明日、つまり今日はおやすみが確定しているので、お買い物に行こうと思う。

とりあえず、普段着と、外に出る時用の作業系の服、あとは帽子とか。

とにかく、この世界基準のまともな服と、冒険者向けの装備を揃えたい。


「よし、いくか」


ラピスに朝の支度をしてもらい、モーニングでパンとゆで卵と飲み物をいただいて、外へ。

護衛として、ラズリがついてきてくれる事になった。


「私、こう見えて強いんですよ!」


ラズリはメイドさんをしているが、ジョブは闘士だという。

体ひとつで戦闘をこなすジョブだ。特に足技が得意らしい。ムチムチの足、頼りにしています。




私の家のあるエリアでは、下級貴族向けの服屋さんしかない。さすがにそこまでは求めてないので、もう少し外周にある、上級庶民向けの服屋さんに向かう。

昨日の報酬ではなく、当面の資金としていただいた中からやりくりする。それでも、金貨五枚もあるんだけど……


「どんな服がいいですかね」


「私がしっかりとコーディネートします! おまかせください!」


ラズリに任せちゃおう。


ついた店は、新品も中古も売ってるお店だった。

新品の服は高い。上下で買うと金貨一枚のものもざらにある。……中古でお願いしたい。


「中古で、王城に参じても問題ないようなものは…… 難しいですね、新品のこれなら最低限……」


い、いままでの服装と全然違う!

いままでは聖女様の威光で許されてきたのだろう。

……しかたない、新品を買おう。


「じゃ、じゃあ、それでいいかな」


「お似合いです! かわいいですよ!」


ありがとうね…… ちなみに値段は。


「き、金貨かあ……」


「やっぱり服はお高いですねえ……」


でもこれは仕方の無い出費だ。贅沢しているわけではない。……ちゃんと稼がないとなあ。


作業着のほうも、しっかりしたものを買った。

安いものもあったが、仕事道具はそこそこでもちゃんとしたものを用意しないとそのうち困るのだ。

女性冒険者向けの服に、帽子。あとは、護身と作業用にナイフも購入。

ナイフなんて提げる日がくるとは思わなかったけど…… 私も、こっちの世界にはやく馴染めるように、って意味もこめて。

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