7話、はじめてのお給料


「早かったわね!」


王城、聖女の館にて。

当日中に、レッサースライム十匹を納品しにきた。


「たしかに、十匹。しっかりとテイムされているようでございます」


聖女付きの執事が、カゴに入れていたレッサースライムを数えて聖女に伝える。

私は、スライムたちに、聖女様にちゃんと従うように、と伝えた。


「報酬はセバスからあとで受け取りなさい! ……セバス、少しだけ二人にしてちょうだいな」


「かしこまりました。では、報酬をご用意して参ります」


聖女様はセバスを部屋から出し、私と二人きりになった。


「で、どうだった? スキルはでたかしら?」


「な、なにを」


「私、最上位の鑑定眼も持ってるの。アマツカさんのスキルの事、あなたよりよく知ってるわ!」


な、なんと。

じゃあ、今回の依頼も……


「スキルは、貰いました。体内保管という」


「うわ、すごい微妙なスキルね! 人前で使えないじゃない! 捕食とかそういうのかと思ったのに…… やっぱり最弱じゃ駄目だったわね。次はノーマルのスライムかしら」


「あのー……」


「まあいいわ! 次は明後日に呼び出すわね! ありがとう、このスライムたちは大事にするわ!」


怒涛の問答で、話は終わってしまった。


セバスさんが戻ってきて、報酬の小袋をいただいて退室。

明後日に呼び出されるということは、明日はおやすみかな。なにしよう。




聖騎士さんに護衛をされながら家に戻り、自室。

そういえば開けてなかったなと、報酬の小袋をとりだす。


この世界ではじめてのお給料だ。どれくらいもらえたのかな…… 銀貨とか入ってるかな。


中身は一枚っぽい。

銅貨、銀貨、金貨は、それぞれだいたい100円、1万円、50万円分くらいの価値がある、って感じだ。

今回の実労働時間を考えれば、銀貨でも高いくらい。さすがに、銅貨一枚は無いだろう。


「中身は…… おうっふ」


キラキラと、金色に輝いている。

……金貨じゃん。ゴジュウマンエン。

ちなみに、ウチのメイドさんのお給料は、月に金貨一枚らしい。全部聖女予算から出てるらしいけれど。

メイドさんの一ヶ月分を、たったの数時間で……

おそろしくなってきた。明後日、聖女様にちゃんと言わないと。


「……これは貯金かな」


何かあった時用の虎の子だ。

袋に戻し、机の引き出しにしまいこんだ。

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