6話、はじめての外


騎士のヴァルさんと共に、王都を出る。

王都は広く、ここまでですでに二時間はかかっている。徒歩だから足が痛い…… と思ったが、意外に大丈夫。

体が頑丈になってるかもしれない?


「さて、ここからは安全が保証されていないエリアだ。だが、私がいればなにも問題ない。あまり離れないように」


「わかりました!」




草むらを散策する。

ぴょこぴょこと、虫が跳ねていたりする。


「いたぞ」


ヴァルさんがスライムを見つけたようだ。

どれどれ……


「わ、かわいい」


のそのそと地面を這っているスライム。

城で最初に見たものより濁っている気はするけど、あれと同じだろう。


早速、テイムを試してみる。


「テイム! ……できた!」


レッサースライム、一匹目テイム!


「まだまだいるぞ。ここは餌場になっているのか」


まわりをみると、確かに沢山いる。十匹以上いるね。

みんな、地面を這い回ってなにかしている。草を食べているのかな。


「テイム、テイム! ……おお、みんなテイムできちゃう」


「疲れたり頭痛などはしないか? 」


「ええ、大丈夫ですよ?」


テイムとか、スキルを使う時は、魔力を使うらしい。魔力を使いすぎると、酔いや疲労がおこるという。

今のところ、まったくそういう気配はない。

スライムのテイムに関しては魔力を使わない、という可能性もあるなあ。


そんなこんなで、十匹目のテイム。


『テイム数が規定値に達したので、能力が授けられます。レッサースライム十匹の報酬として、「体内保管」スキルを入手しました』


脳内に声が響く。

いっぱいテイムしたからスキルくれるって……

『体内保管』ってなんだ? 言葉の響きから、大体わかるけど…… ためしてみるか。


拾った石に、体内保管スキルを使ってみる。

……石が手の中に沈んでいった。気持ち悪い。

そしてそれを取り出す…… 手から石がでてきた!

なんかスライムになった気分。使い所が難しいな。人前では使えない。


「ん、どうかしたか?」


「あ、いえ! 何匹いるんだろうと思って」


「聖女様への納品分は十匹だが、自分でも飼いたいなら好きなだけテイムするといい。スライムはなんでも食うらしいし、一日の食事量も多くない。世話も楽だろう」


そうなんだ。

じゃ、私の分も二匹くらいいればいいかな。


レッサースライム十二匹をテイムし、今日のお仕事は終わり。

あとは聖女様に渡しに行くだけだ。

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