5話、レッサースライム
「レッサースライムを十匹、テイムして連れてきなさい!」
朝、王城、聖女の館にて。
私が来た瞬間の出来事だ。
まだ挨拶もなにもしていないんだけど!
「わ、わかりました。期限は」
「早めがいいわ! ステラ、護衛を呼んできなさい!」
「は、すぐに」
ステラと呼ばれたメイドが、ササッと部屋を出た。
護衛。私のためのかな。
そうか、外に出るんだもんね。
「アマツカさん、あなたはこれから、私のためにスライムを集める仕事をしてもらうの! ペットにするから、可愛い子を選んでちょうだいね!」
「はい、頑張ります!」
「護衛には騎士が着くわ! たしか、冒険者でいうと一級くらいの強さだったかしら? とにかく、身の安全はその護衛に任せたらいいわ! あなたはスライムにだけ集中すればいいの!」
「ありがとうございます!」
聖女様、有無を言わせぬ話し方でちょっと疲れる…… けど、悪い子じゃないのはわかる。可愛いし。
レッサースライム十匹。どれくらいで集められるかなあ。
「護衛をさせていただくのは、私、聖騎士のヴァルだ。よろしく頼む」
聖騎士! 聖女様の騎士団では? いいのか、こんな事に聖騎士をつかっても。……聖女のためだからいいのか。
「よろしくお願いします、アマツカです」
「身の安全は、私が保証する。準備が出来次第、参ろう」
準備…… 準備ってなにすればいいの?
というわけで、準備もおまかせした。
と言ってもただ、テイムしたスライムを入れておく籠を借りたくらいだ。
レッサースライムは王都周辺の草むらにも居るくらいのほぼ無害な雑魚らしいので、装備という装備は要らないという。じゃあ聖騎士なんて過剰では? と言うと、確かにそうだという。
だが聖女が私を絶対に危ない目にあわせるなと命令したそうなので、万が一に備えて、という事らしい。
聖女に気に入られている。嬉しい。わがまま妹みたいで可愛いのよね。
「レッサースライムは、子供が倒せるほどの雑魚だ。誤って潰さないように気をつけねば」
あ、ほんとにめちゃくちゃ弱いんだ。
早く終わらせて、はやく帰ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます