第27話 防具

「まずは、防具からだな。」


「防具を売っているお店はあそこのようです。」


「さてと、入るか。......誰もいないな。」


「本当ですね。ここが防具の店という情報はデマだったのでしょうか?」


「いや、防具と思われるものはたくさんある。」


ルナはあたりを見渡しながら奥へ進んでいった。


「誰かー、いませんかー?いたっ......なにこれ?腕?......し、死体?きゃぁあー。」


「よく見ろよ。生きてる。肺が膨らんだり縮んだりしてるだろ。」


「本当ですね......見なかったことにしてもらっても?」


「ああ、だめだ。」


「......ひどいです。」


「そんなことよりも、起こすぞ。」


「...そうですね。」


「おい、起きろ。」「起きてください。」


「なんじゃ、うるさいのう。で、誰かのう?」


「爺さん、客だ。」


「ふむ、おぬしら強いじゃろ。売れるほどのものはないんじゃがのう。」


「別にいい。いい防具が欲しいわけじゃないからな。」


「ほう?おぬしらが強いのは分かる。...じゃが、良い防具が必要な時が必ず来る。その時に粗末な防具で後悔するのはおぬしじゃぞ。」


「それは分かっている。だからこそ爺さんのような奴に防具を作ってもらいたい。オーダーメイドでな。」


「......素材はおぬしらが用意するのじゃぞ。」


「ああ、今手持ちにはワイバーンの皮がある。それで作ってくれ。」


「どういう風にしてほしいのじゃ?」


「マントにしてほしい。」


「分かったのじゃ。3日ほどかかるのじゃ。」


「ああ、分かった。」


俺たちは店を出た。


「あそこのおじいさんに渡して良かったのですか。」


「信用できるかということだな。」


「はい。」


「ルナはあのやり取りをどう見る?」


「そうですね......いたって普通の会話じゃないのですか?」


「違うな。あの爺さんは言ったな。『誰かのう?』と。」


「それがどうかしたのですか?」


「そこには大体だがこんな意図があると思われる。『お前は追手か?』」


「......。」


「さらに『ふむ、おぬしら強いじゃろ。売れるほどのものはないんじゃがのう。』と」


「これは『客のふりをしているのか?それならさっさと帰るか死ぬか選べ。』」


「見つけた時、爺さんは起きていた。そして、袖にナイフを隠していた。これが意味することは分かるよな。」


「殺そうとしていたということですか。」


「そうだ。たぶんだが、あの爺さん相当強い暗殺者だ。」


「......つまり、あのおじいさんは信用できないと?」


「いや、あの爺さんはこうも言った『ほう?おぬしらが強いのは分かる。...じゃが、良い防具が必要な時が必ず来る。その時に粗末な防具で後悔するのはおぬしじゃぞ。』とな。」


「これは、爺さんの警告という優しさと実体験、そしてある程度しっかり防具の店をやっているということだ。」

       

「だから信頼している。」

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