第5話②かとう

「大将!今日のお刺身すごい豪華じゃない。」


と嬉しそうに北村が言いながらビールを飲み干していた。


田﨑達はいつものように練習後に割烹東で飲んでいる。


「そう言えばラジオ聞いた?」

と北村が言った。


「何のラジオ?」

と意味が分からず聞き返すと、


「俺たちのファンの人が趣味でラジオを流していて、そこにブルーウイングスの話が結構出てくるんだよ。」

と北村は答えた。


「ラジオは誰でもできるの?」

田﨑が素直に疑問をぶつけた。


北村と同じく田﨑と同期の金子が、

「今はアプリで無料で配信できるよ。

俺も聞いたんだけど、すっごい俺たちのこと応援してくれているの。」

と笑った。


「田﨑知らないなら聞いてみる?」

と北村は大将にことわり、ラジオを流し始めた。


内容は試合の感想や、ファンの方へのインタビュー、ファンの方からのお手紙紹介、ブルーウイングスのイベント情報などが約10分という短い時間に上手にまとめられていた。


内容の充実にも驚いたけど、MCの声が聞き間違いようもなく、「かとう」の声だった。


「かとうさん?」

と呟く田﨑に


北村と金子は

「かとうって誰?」

と聞き返した。

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