第48話 ロキ
俺は
「ここが神界の闇の穴の最下層、
真っ暗な中、なにかをこすっている様な不気味な音が、そこら中から聞こえてくるがあまりに暗いために、不気味な音の正体は分からなかった。
「音も気になるがなにより匂いが酷い」
嗅いだ匂いは腐った魚を腐った牛乳に漬けた様な匂いだった
この暗闇の
「とりあえず見える化から始めるか。
1S
「こんな感じでいいか」
雷操作で雷を球状に変化させて、その雷の球の周りを火炎で覆い、擬似太陽を作って上に向かって投げつけて辺りを照らすと、不気味な音の正体が明らかになる。
「なんだこいつらは? 首が――いや、顔が無いのか」
不気味な音の正体は全身が病的な白色をしている、首から先がない人型のなにかが四つん這いになって地面を這いずっている音だった。
「あっれー? こんなところに生きている人間がいるなんて珍しいなー。もしかして君がジン・シュタイン・ベルフ?」
顔は中性的で声も高く、少年か少女か見分けがつかない子供が話しかけてきた。
「そうだ、俺がジン・シュタイン・ベルフ。邪神の手下か? 邪神の元へ案内しろ」
案内しろと言われて子供は元気よく返事をする。
「はいはーい! 了解だよー。僕は邪神様の側近、ロキ。よろしくねー!」
「よろしくするつもりはない、さっさと案内しろ」
「あーうん。案内はちゃんとするよ? でも、邪神様が君と遊んでいいって言ってくれたんだよねー。だから僕と遊んでくれたら案内するよー」
ロキが指でパチンと軽快な音を鳴らすと、地面に四つん這いになっていたなにかが一斉に立ち上がった。
「この子たちはねー、
もう一度ロキが指でパチンと軽快な音を鳴らすと、
「数が多すぎて面倒だな。上級特異能力!
自分より下位の存在を、存在ごと消滅させる上級特異能力(ハイスキル)を発動したが、
「無駄だよーん。だって
「存在してるけど、存在していない? 一行で矛盾しているぞ」
「だって本当なんだもーん。僕もこの子たちがどこから湧いてくるのか知らないしねー。ほら、よそ見してていいのー?」
「面倒だな、5S!
飛び上がった俺は自分の為に強制的に働く社畜へと変える、5Sを発動するが
「
「なら、面倒だが一体一体倒すだけだ。神聖剣、
空間から取り出した、神聖剣
「おいおい、どうなってるんだ?」
「いいよー、いいよー、もっと頑張って増やしてねー」
ロキは空中で無邪気な笑顔を見せている。
「これじゃあキリがないな。なにか方法はないのか?」
押し寄せてくる
「時間がもったいない。作業基準書、こいつらを倒すにはどうしたらいい?」
脳内に、鈴を転がした様な女性の声が聞こえる。
「はい、担当者様。
「不可能、なるほどな。そういう事か」
その言葉を聞いた俺は神聖剣、
「あれれー? そんなことしたら死んじゃうよー?」
「……」
黙って目を閉じていると、襲いかかってきていた
「なぁんだ、もうばれちゃったのかー。まぁ結構増えたし、
ロキは
「
「存在の無視なんてそうそうできないよー? 存在の否定は存在を認めるのと同じだからねー。まぁいっか、それじゃあ案内するよー」
ロキの案内で俺は
「この穴を飛び込んだ先に邪神様とライトがいるよー。じゃあ僕は別の仕事があるから行くねー。ばいばーい!」
ロキは俺を虚無の
「まるで激流の渦の真ん中に飛び込む気分だな。この先、
俺は再び空間から神聖剣、
「邪神、お前の闇が社会の闇に飲まれた事のある俺より深いのか試してやるよ。ブラック工場作業員を舐めるなよ」
臆する事なく俺は穴へ飛び込んだ。
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