続編③ 鬼の居城に潜入
ヨハンとハンナは、村の惨状を目の当たりにし、一刻も早く行動を起こすことを決意した。彼らは、村の外れに身を隠し、村人たちの様子を観察していた。
夜になると、村人たちは労働から解放され、粗末な小屋に戻っていった。ヨハンとハンナは、望遠鏡で村人たちの様子を詳しく観察した。
すると、ヨハンが何かに気づいた。
「ハンナ、ちょっと見てくれ。村人たちは全員小屋に戻ったようだけど、桃太郎の姿だけが見当たらないんだ。」
ハンナも望遠鏡を覗き込み、村を詳しく観察した。
「本当ね。桃太郎は、他の村人たちと一緒に小屋に戻っていないわ。」
そして、ハンナは鬼の城に目を向けた。すると、城の中に人影が動いているのが見えた。よく見ると、その人影はピンクの着物を着ていた。
「ヨハン、見て!城の中に桃太郎がいるわ!まさか、夜は城で働かされているの?」
ヨハンも城を注視し、頷いた。
「そうみたいだね。鬼たちは、昼は桃太郎を村で働かせ、夜は城で働かせているんだ。休む暇も与えずに、働かせ続けているのかもしれない。なんて残酷な…。」
二人は、桃太郎が昼夜を問わず鬼に奴隷として扱われていることを知り、怒りを覚えた。そして、桃太郎から直接話を聞くことで、状況をより詳しく理解する必要があると考えた。
ヨハンとハンナは、桃太郎に会うために、鬼の居城に忍び込む計画を立てることにした。
二人は、望遠鏡を使って城壁を詳しく観察した。すると、城壁の一部に、まだ建設中の箇所があることに気づいた。そこは、他の部分に比べて警備が手薄そうだった。
ヨハンは、ハンナに提案した。
「ハンナ、あの建設中の場所から忍び込むのはどうだろう?警備も少なそうだし、我々にとっては絶好のチャンスだと思うんだ。」
ハンナも同意した。
「そうね。建設中の場所なら、鬼たちも油断しているはず。あそこから侵入するのが一番良さそうだわ。」
こうして、ヨハンとハンナは、桃太郎に会うために鬼の居城に忍び込む計画を立てた。彼らは、桃太郎から直接話を聞き、状況を詳しく理解することで、村と桃太郎を救う方法を見出そうと考えたのだ。
◇◇◇
二人は、慎重に建設中の城壁を登り、内側に降りた。そして、鬼に見つからないように注意しながら、城内を進んでいった。
やがて、二人は奥の部屋から漏れる明かりに気づいた。そこから、鬼たちの宴会の声が聞こえてきた。
ヨハンとハンナは、そっと部屋を覗き込んだ。すると、そこには宴会の席で給仕をしている桃太郎の姿があった。
桃太郎は、疲れ切った表情で、鬼たちに酒を注いでいた。鬼たちは、桃太郎を下僕のように扱い、彼を侮辱する言葉を投げかけていた。
ヨハンとハンナは、桃太郎に気づかれないよう、そっと彼の注意を引いた。桃太郎は驚いた様子で二人を見たが、すぐに状況を理解したようだった。彼は、鬼たちに気づかれないよう、静かに二人に近づいた。
ヨハンは、桃太郎に小声で話しかけた。
「桃太郎さん、私たちはあなたを助けに来ました。夜、部屋で話を聞くことはできますか?」
桃太郎は、驚きの表情を浮かべたが、すぐに理解したようだった。彼は小さく頷き、ヨハンに部屋の場所を伝えた。
「わかりました。夜中の12時に、城の西側の一番端の部屋に来てください。そこが私の部屋です。」
ヨハンとハンナは、了承の意を示し、そっと宴会場を後にした。彼らは、夜中の約束の時間を待つことにした。
◇◇◇
夜中の12時、ヨハンとハンナは約束通り、桃太郎の部屋を訪れた。桃太郎は、二人を待っていた。
ヨハンは、桃太郎に尋ねた。
「桃太郎さん、どうして鬼を解放してしまったのですか?その経緯を詳しく教えていただけませんか?」
桃太郎は、悲しげな表情で話し始めた。
「私は村を守るために、鬼退治に向かったのです。でも、鬼の封印を解く言葉を唱えたとき、何か恐ろしい力が働いたのです。気がつくと、鬼たちは解放されていました。」
桃太郎は、その時の状況を詳しく説明した。
「封印が解かれると、鬼たちは一斉に外に飛び出してきたのです。私は必死で戦いましたが、鬼たちの力は圧倒的でした。結局、私は捕らえられ、村人たちも鬼の奴隷にされてしまいました。私のせいで、村は滅びてしまったのです。」
ハンナは、桃太郎の肩に手を置いて言った。
「鬼を解放したのは、あなたの本意ではなかったのですね。」
桃太郎は、涙を浮かべて頷いた。
「私は村人たちに申し訳ないことをしました。どうか、村人たちを助けてください。」
ヨハンは、桃太郎に力強く言った。
「必ず村人たちを救います。そして、一緒に村人を鬼の脅威から解放しましょう。」
桃太郎は、感謝の言葉を述べた。
「ありがとうございます。私も、できる限りのことをします。」
こうして、ヨハンとハンナは、桃太郎から鬼を解放してしまった経緯を知った。そして、三人は力を合わせて、鬼を倒し、村人たちを救う決意を新たにしたのだった。
鬼への反撃の火蓋は、今にも切って落とされようとしていた。
(続く)
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