詩人

幡野こより

詩人

五月の詩人帆の苦しみを蔑ろ

空の徳利傾け詩人麦酒もなく

大きくて詩人の口や源五郎

「薔薇でせう」詩人したり顔で前へ

詩人鼎談麦茶そのまま残りけり

風鈴や詩人その詩の貧しきを

夏の木を靈に仕立てて詩人の暇

詩人のキヤムプ腸詰の張り詰めて

普通に鰻食べてゐる詩人かな

まひまひかぶり詩人へとひた奔る

マーといふよりラーと云ふ梅雨の詩人

孑孑や詩人林立して困る

今宵また挫けて詩人黴を拭く

一階の詩人二階の鯰かな

夏瘦詩人墓石を律儀と思ふ

骸へ蠅その蠅へ詩人が仰山

蓮の浮葉詩人饒舌に何やら愛

夏の詩や詩人の手口詳らか

泪するに詩人緑蔭まで行きぬ

夏雲ひたすら真白や詩人逃げるなよ

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詩人 幡野こより @hatanoblue

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