第23話 池袋の影

 5月1日

 埼玉県浦和市・大宮市・与野市の3市が合併し、さいたま市が誕生。


 マイライン開始。

 

 明智真一と瑠衣は、新宿の闇を暴いた後、次なる手がかりを求めて池袋に足を踏み入れた。池袋もまた、ネオンが輝き人々が行き交う繁華街だったが、その裏側には暗い影が潜んでいた。二人は塩見三省しおみさんせいに似た草尾という名の情報屋と接触するため、スナックへと向かった。


 スナックの入口には、派手な看板が輝いていたが、中に入ると薄暗い照明が雰囲気を醸し出していた。草尾は、店の奥のカウンターに座っていた。彼は情報屋としての顔を持つが、その実、裏社会の手先でもあった。


「草尾、俺たちは真実を求めている。お前が知っていることを話せ」

 真一は低い声で草尾に迫った。

「お前らには関係ねえことだ。だが、どうしても知りたいってんなら…」

 草尾は一瞬、六角レンチを取り出した。その目は真一を試すかのように光っていた。

「俺たちはただの通りすがりじゃない。覚悟はできている」

 真一は怯むことなく草尾を見据えた。

 草尾はしばらくの沈黙の後、ポケットから一枚の地図を取り出した。

「この地図を見ろ。ここに行けばお前たちが探しているものが見つかるだろう」

 真一と瑠衣は地図を受け取り、その詳細を確認した。それは池袋の外れにある廃墟のビルを指していた。

「それともう一つ。これを持っていけ」

 草尾は小さなボトルを差し出した。

「これは頭痛薬だ。だが、ただの薬じゃない。お前らの頭痛を和らげるためのものじゃないことを覚えておけ」

 瑠衣は一瞬戸惑ったが、真一はボトルを受け取り、無言で草尾に感謝の意を示した。


 地図を頼りに、真一と瑠衣は池袋の外れにある廃墟のビルにたどり着いた。ビルの外観は荒れ果てており、中には不気味な静けさが漂っていた。

「ここが草尾の言っていた場所か」  

 瑠衣は緊張した声で言った。

「そうだ。中に入って調べよう」

 真一は慎重に扉を開け、内部に足を踏み入れた。

 廃墟の中は暗く、埃が舞っていた。壁には古い落書きが残されており、床にはゴミが散らばっていた。進んでいくうちに、二人は奇妙な音を耳にした。

「何かがいる…」

 瑠衣は身を寄せて言った。

 突如として、暗闇の中から何かが飛び出してきた。それは異様な影であり、人間の姿をしていたが、明らかに常軌を逸した存在だった。その影は狂気に満ちた目で二人を見つめ、「喰い殺す」と呟いた。

「何だこれは!」

 瑠衣は恐怖に震えた。

「後退しろ、瑠衣!」

 真一は冷静に対処し、影と対峙した。


 真一は、草尾から受け取った頭痛薬を影に投げつけた。薬が影に触れた瞬間、影は苦しそうにうめき声を上げ、消滅していった。

「どうやらこの薬は、あの影に対抗する手段だったようだ」

 真一は冷静に言った。

 影を退けた後、二人はさらに廃墟を調べ続けた。やがて、一つの部屋にたどり着いた。その部屋には、金庫が隠されており、中には重要な書類が入っていた。

「これが…証拠だ」

 真一は書類を手に取り、詳細を確認した。


 その書類には、池袋を拠点にする犯罪組織の詳細と、彼らの資金洗浄の手口が記されていた。さらに、組織のリーダーである『ジョーカー』の存在も明らかにされた。

「ジョーカー…彼がこの一連の事件の黒幕か」

 真一は決意を新たにした。

「これで終わりじゃないわね、真一」

 瑠衣は彼の隣で語りかけた。

「そうだ。これからが本当の戦いだ」

 真一は瑠衣の手を取り、次なる目標へと向かった。


 二人の旅はまだ終わらない。池袋の影を暴き出し、真の黒幕を追い詰めるため、彼らはさらなる冒険へと踏み出すのだった。

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