第22話 新宿の爪痕

 4月30日 - 東京都台東区の路上で、女子短大生がぬいぐるみ帽子の男に刺殺される(レッサーパンダ帽男殺人事件)。


 明智真一と瑠衣は喜多方市での事件を解決し、20年ぶりに東京へと戻ってきた。次の手がかりを探るため、新宿の雑踏に身を投じた。新宿は、その夜もネオンが輝き、人々の歓声が響いていた。繁華街の騒がしさの中、二人は一際異様な空気を纏ったビルの前に立っていた。

「ここが例の場所だ」

 真一は低く囁いた。

 ビルの外観は古びており、何年も手入れがされていない様子が伺えた。中に入ると、暗い廊下が続いていた。壁はひび割れ、床は埃にまみれていたが、真一の目には確かな痕跡が見えた。

「このビルで首吊り自殺があったという噂があるが、単なる自殺ではないだろう」

 真一は瑠衣に語りかけた。

「爪痕…」

 瑠衣が壁を指差した。そこには、人が必死に引っ掻いたような深い爪痕が残されていた。

「この爪痕は、何か異常な力で引っ掻いたものだ」  真一はさらにビル内を調査することに決めた。


 ビルの3階にあるトイレに入った二人は、そこで起きた惨劇の痕跡を見つけた。壁には血痕が飛び散り、床には何かがこぼれた痕跡が残されていた。明るいライトの下、真一はその場の詳細を探ろうとした。

「ここで何が起きたんだ…」

 真一は呟いた。

 トイレの個室の一つを開けると、中には恐ろしい光景が広がっていた。レイプされた形跡があり、被害者の遺体は発見されていないが、その惨状がリアルに残されていた。瑠衣は手を口に当て、目を閉じた。

「これは…ひどすぎる」

 瑠衣は震える声で言った。

「ここでの証拠を残さないようにしたんだろう。だが、何かを見逃しているはずだ」

 真一は冷静に分析を続けた。


 二人は、そのビルの地下にあるプールに足を運んだ。プールは使われておらず、水は腐敗して不気味な臭いを放っていた。プールサイドには、爪痕と同じような痕跡が残されていた。何かが引きずられたような跡だ。

「ここにも何かが隠されているはずだ」

 真一はプールの底を調べ始めた。

 しばらくすると、プールの底に何かが沈んでいるのを発見した。古びた金庫だ。真一はその金庫を開け、中に隠されていた書類と写真を手に入れた。

「この金庫…一体何が隠されているんだ?」

 瑠衣は興味津々に尋ねた。

「これが証拠だ。おそらく、ここで行われていた違法な活動の記録が残っている」

 真一はその書類を確認し、重要な情報を見つけた。


 ビルを出た後、瑠衣は重い口を開いた。「真一…私にも話さなければならないことがあるの」

「何だ、瑠衣?」

 真一は彼女の顔を見つめた。

「私の家族は、かつてこのビルを所有していた。そして、このビルで起きた事件が原因で、私の父が首吊り自殺をしたの」

 瑠衣の声は震えていた。

「それで、あなたはここに来たんだな」

 真一は理解した。

「そう、真実を知りたかった。そして、この手がかりを掴んだ今、父の死の真相を明らかにするために、あなたと一緒に戦いたい」

 瑠衣は決意を固めた表情を見せた。


 新宿の闇を暴いた真一と瑠衣は、新たな手がかりを追って行動を開始した。次なる目的地は明らかにされていないが、二人は揺るぎない決意を持ってその道を進んでいく。

「俺たちは、この道を最後まで進む」

 真一は瑠衣に誓いを立てた。

「一緒に戦うわ、真一」

 瑠衣もその手を握り返した。

 二人は、新たな謎を解くために再び歩みを進めた。


 4月からはじまったドラマは次のとおり。

 4月 - 9月 - NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』。2001年向田邦子賞。


 4月 - 6月 - フジテレビ系ドラマ『ラブ・レボリューション』

 外科医の浅丘恭子(江角マキコ)は強くて仕事ができるが、恋に不器用な女。彼女を中心にスチュワーデスの遠藤真理子(米倉涼子)、テレビ局記者の須賀(藤木直人)、売れない俳優の矢吹(押尾学)ら男女8人で繰り広げられるラブストーリー。


 4月 - 6月 - 日本テレビ系ドラマ『明日があるさ』

 当初、日本コカ・コーラの主力商品の一つ「ジョージア」のCM内ドラマとして登場した。その後、シリーズ化されたCMのタイアップ企画として日本テレビ系列でテレビドラマ化された。その際、設定や大半の出演者はCMから引き継がれている。


 出演者は主に吉本興業所属のタレントが起用された。総合商社を舞台に不況と闘うサラリーマンとその家族を主軸に描いた作品である。主演の浜田雅功の相方である松本人志は前年の同クール同時間帯に放送されていた『伝説の教師』で初の本格ドラマ出演を果たしたが、今作は数分の出演にとどまった(謎の男として数分のみ登場すると言う形になったため)。また、吉本興業のタレントと仲間由紀恵は、役名も芸名(または本名)と同一であった。また、ドラマではあまりないダウンタウンの2人の共演となった。

 全11回で、平均視聴率は19.3%であった(最高視聴率は初回の29.0%・関西地区の初回の最高視聴率は30.0%。なお、初回の29.0%は2021年現在、民放の連続ドラマ初回視聴率史上歴代7位の記録であり、日本テレビでは歴代1位)。


 4月 - 6月 - TBS系ドラマ『Love Story』

 北川悦吏子脚本による恋愛ドラマ。スランプに陥り、もう2年間も新作を発表していない恋愛小説家の永瀬康(豊川悦司)と、その担当者となった契約編集者の須藤美咲(中山美穂)を軸に、香取慎吾、優香、加藤晴彦、畑野浩子らが絡んでの物語が展開する。

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