第21話 喜多方無惨

 4月26日

 小泉純一郎が第87代内閣総理大臣に就任。第1次小泉内閣発足。


 日産自動車が「キャラバン」をモデルチェンジ。乗用グレードは縮小される。

 仕事が一段落した明智真一は、福島県喜多方市へと向かった。彼の目的は、かつて家族が住んでいた町で起きた謎めいた事件を解明することだった。

 真一は、喜多方市の端にある大川ダムを訪れた。ここで、数年前に無理心中事件が起きたという噂があった。その事件以来、ダム周辺は不気味な雰囲気が漂っていた。

「無理心中か…何があったんだ?」

 真一は事件の詳細を知るために、地元の図書館で古い新聞記事を調べた。記事によれば、父親が家族を巻き込んでダムに飛び込み、自ら命を絶ったということだった。

「だが、何か引っかかるな…」

 真一は、事件が単なる心中ではなく、何かもっと深い闇が隠されているのではないかと感じた。


 同時期に、喜多方市では怪盗が暗躍していた。彼は『丑三つ刻の怪盗』と呼ばれ、毎夜丑三つ刻に活動していた。その手口は巧妙で、警察も手を焼いていた。

「この怪盗と無理心中事件に何か関係があるのか?」真一は興味を抱き、怪盗の足跡を追い始めた。

 調査を進める中で、真一はダムの近くの廃墟に辿り着いた。そこには、膿が染み出したような異臭が漂っていた。廃墟の中に足を踏み入れると、ミイラ化した遺体を発見した。


「これは…あの無理心中事件の被害者か?」真一は驚愕しながらも、遺体の調査を続けた。その遺体のそばには、一冊の古びた日記があった。日記には、父親が家族を巻き込んだ理由が記されていた。


「銀行の不正、脅迫…これが真相か」

 真一は日記を読み進める中で、事件の裏に潜む闇を知った。

 真一は、怪盗の正体が地元の銀行家である宇津木であることを突き止めた。彼は銀行の不正を隠すために無理心中事件を装い、家族を殺害した後、怪盗として活動していたのだった。

「宇津木、お前の罪を暴いてやる」

 真一は決意を固め、宇津木との対決の場を設けた。

 真夜中、丑三つ刻に、真一は大川ダムで宇津木を待ち構えた。ライフルを手にした宇津木が現れ、二人は緊迫した空気の中で対峙した。

「お前がすべての元凶だったんだな、宇津木!」

 真一は声を張り上げた。

「お前に何が分かる!家族を守るためにやったんだ!」

 宇津木は叫びながらも、真一にライフルを向けた。

 真一は冷静に宇津木の動きを見極め、一瞬の隙を突いて彼を取り押さえた。

「これで終わりだ。正義は必ず勝つ」

 真一は静かに囁き、宇津木を警察に引き渡した。


 喜多方市での事件を解決した真一は、再び東京へと戻ることにした。彼の心には、新たな決意と使命感が芽生えていた。

「俺はどこまでもこの道を進む。闇を暴き、正義を貫くために」

 真一はそう心に誓い、次なる目的地へと歩みを進めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る