第11話 野木の陰謀

 明智真一は、古河での事件から数日が経過した後、次の手がかりを追っていた。彼の調査は、野木という名の銀行家に繋がっていた。野木は、一色組と密接な関係があり、その資金洗浄を手助けしていると見られていた。


 古びた喫茶店で、真一は野木と接触するための情報を集めていた。そこには、昔話に詳しい老人がいて、彼から聞いた話がヒントになった。地井武男ちいたけおに似た老人は、「昔、宇喜多という名の大名がタリウムを使って敵を倒したという話を知っているか?」と語り始めた。


 真一はその話に興味を抱き、詳しく聞き出した。タリウムという毒物が重要な役割を果たすことを直感した彼は、その情報をもとに野木の動きを探ることに決めた。

 真一は、野木の銀行を調査するために変装し、行内に潜入した。そこで、野木が宇喜多という名で知られる裏社会の大物と接触していることを突き止めた。宇喜多は、タリウムを使った暗殺計画を進めており、その資金を野木の銀行で洗浄していたのだった。


 真一は、野木の事務所に忍び込み、彼のパソコンから重要なデータをコピーすることに成功した。そこには、タリウムを使った暗殺計画の詳細が記されており、次の標的が『久馬きゅうま』という名の人物であることが判明した。


 真一は、久馬という人物を守るため、彼と接触することを試みた。小野武彦おのたけひこに似た久馬は、東鷲宮の隣町に住む元警察官であり、現在は民間の探偵として活動していた。真一は、久馬に接触し、彼の安全を確保するための対策を講じることに決めた。


「久馬さん、あなたの命が狙われています」

 真一は直接的に告げた。

 久馬は驚いた表情を見せたが、真一の説明を聞くうちにその危険を理解した。「ありがとう、明智さん。私も協力するよ」

 久馬の協力を得た真一は、野木と宇喜多の陰謀を暴くための最終計画を練り始めた。彼らの次の取引が行われる場所を特定し、その現場を押さえることにした。


 取引の当日、真一と久馬は現場に潜入し、証拠を押さえることに成功した。野木と宇喜多は現行犯で逮捕され、彼らの犯罪組織は壊滅的な打撃を受けた。野木は小林稔侍こばやしねんじ、宇喜多は陣内孝則じんないたかのりにそれぞれ似ていた。

「これで一つの闇を消すことができた」

 真一は満足げに語った。

 しかし、彼の戦いはまだ終わりではなかった。次の闇がどこで待ち受けているかはわからないが、彼は正義のために戦い続ける決意を新たにした。

「潮時はまだ先だ。俺は、どこまでも戦い抜く」

 真一の瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

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