第3話 真実の告白: 一色家と番長の秘密

 12月13日 - 最高裁、徳島ラジオ商殺し事件の再審決定。

 

 一色は深いため息をつき、静かに語り始めた。「この本は、我が一色家に代々伝わるもので、町の秘密を記したものです。しかし、その秘密を守るために、この本を狙う者たちが現れることを恐れ、地下室に隠すことにしました」

 明智と千葉は一色の話に耳を傾けた。地下室の薄暗い空気の中、一色の声だけが響いていた。

「番長と私は、共に町の平和を守るためにこの秘密を共有してきました。しかし、最近になって、この秘密を利用しようとする者たちが現れたのです」

 宇崎竜童に似た番長が前に進み出て、冷静な目で明智と千葉を見つめた。「その者たちは、この本に記された古代の力を手に入れ、白岡市を支配しようとしている。私たちはそれを防ぐために動いていたが、手遅れになる前に全てを話さねばならないと判断した」

 明智は眉をひそめた。「古代の力とは何ですか?」

 一色は静かに本を開き、特定のページを示した。「ここに記されているのは、薔薇の魔力を使った秘術です。この力を使えば、人々の心を操ることができる。しかし、それは非常に危険な力であり、誤った手に渡れば災いをもたらすでしょう」

 千葉が驚いた表情で尋ねた。「それで、昨夜の停電と薔薇の置き手紙はその者たちの仕業だったのですか?」

 番長はうなずいた。

「そうだ。我々の動きを探るために行われたものだろう。しかし、彼らはまだ本当の力を手に入れてはいない」

 明智は考え込むように言った。「その者たちの正体はわかっているのですか?」

 一色は頭を振った。「まだ特定には至っていない。ただ、彼らは町の裏社会と繋がりがあると思われます」


 その時、地下室の奥から微かな音が聞こえた。明智と千葉は警戒しながら音の方向に目を向けた。そこには、何かが隠されているようだった。

「何かある…」明智が低い声で言った。

 三人は慎重に音の出所に向かい、そこにあるもう一つの隠し扉を見つけた。明智が扉を開けると、そこにはさらに古い書物や巻物が詰まった小部屋が現れた。

「ここに、さらなる手がかりがあるはずだ」

 一色が言った。

 明智は一つの巻物を手に取り、慎重に開いた。その中には、町の地下に広がる秘密の通路と、薔薇の秘術を使うための儀式の場所が描かれていた。

「この通路を使って、その者たちは動いているのかもしれない」

 千葉が言った。


「今夜、その通路を探ろう」

 明智は決意を固めた。

「町の平和を守るために、我々も動かなければならない」

 一色と番長も決意を新たにし、明智たちと共に地下通路の探索を始めることにした。彼らは秘密の儀式の場所を見つけ出し、その者たちの計画を阻止するために全力を尽くすことを誓った。


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