第82話 二人で探索

朝、子供達を連れてダイニングに入ると綾子が今日はよろしくお願いします、と言ってくる。


今日は綾子とデートの日だな。

何かやりたい事があるのか聞いてみる。


レベル上げをしながら病院や医院を回って、医療器具や薬を確保したいと言う。


薬はもう間に合わないかもしれないけど…と言っているので、薬はある程度確保出来てるよと伝える。


ホントに?と驚く綾子に病院や薬局にある薬は、何件か分ずつ収納してあると答える。


そもそも病気は魔法で治るのに薬がいるのだろうか?


俺の疑問が顔に出ていたのか、出産に使う薬とか、他にも役に立つ薬があるんだよと教えてくれる。


他にも魔法がいつまでも使えるか分からないし、備えておいて損はないでしょ?と得意顔が可愛いな。


そうなった時にアイテムボックス内から薬が取り出せるのかな?と思ったが黙っておいた。


俺はこの可愛い顔を曇らせたい訳ではない。

少なくとも医療に携わってきた綾子が、薬があることで安心出来るのならそれだけで役に立ってるからな。


綾子のステータスを確認して、スキルポイントがあるので遠距離攻撃を選んでもらう。


綾子は銃術にするそうだ。

適当な箱の中にパチンコ玉を出していき、それを綾子のアイテムボックスに収納してもらう。


一万発くらい収納出来たので改造エアガンを渡して準備はオッケーだな。


それぞれ食事を済ませ、着替えに部屋に戻る。

俺はすぐに終ったので玄関にあるソファに座って待つことにした。


少したつと綾子が、お待たせしました!と言ってやってくる。

全然待ってないよ、と応え服装も褒めておく。


ありがとうございます、と少し恥ずかしそうな綾子はとても可愛いです!


パンツスタイルに上は袖のないシャツ?かな。

大人女子って感じがキレ可愛いですね!


今日は鰻の湖を西に進んだとこにある都市を目指そう。

元々人口の多かったエリアなら病院とか医院もあるだろう。


途中まで転移で行くね、と言うと綾子が抱き付いてくれる。

必要ないのはバレてるだろうに皆さん優しいよね。


綾子の腰に手を回して、鰻の湖に転移をした。


暫く感触を楽しんでから、腰に回した手を離す。


綺麗な景色ですね!と何事もなかった様に眺めを楽しんでいるな。


俺も真面目にやろう。

綾子のレベルはまだ低いので安心は出来ないからな。


綾子に銃の使い方を説明してから出発した。

索敵でモンスターの多いところに向かって行く。


小鳥モンスターはここでも弱く、綾子でも対応出来ているな。


地上のモンスターはまだ厳しいだろうから、小鳥モンスターで少し練習してもらおう。


問題なく命中させれているので、本格的なレベル上げをしていこう。


攻撃力の低い綾子に効率よくモンスターを倒してもらうため、本日は特殊玉を用意してるのですよ。


風の中級魔法ウィンドカッターを付与した特殊玉です。

当たるとウィンドカッターが炸裂する優れものなのです!


1000発綾子に渡して、もう一丁エアガンを渡す。

戦闘中に玉を入れ換えてる時間なんかないからね。

分かりやすいように、玉もエアガンもグリーンの色合いにしてある。


銃を持ち替えてもらってからは低空を飛んで、地上と上空のモンスターを両方狩っていく。


この銃は威力が凄いな。

当たった場所から切り刻まれていくので、モンスターが可哀想なくらい相手になっていない。


市街地に入ってからも現れるモンスターは綾子に倒してもらい、俺は病院などがないかを探していく。


すでに何件かの医院から医療機器を綾子の指示に従い回収済みだが、まだ足りないそうだ。


暫く市街地を進んでいると、危機感知に反応が現れる。

咄嗟に綾子を抱き締め、高空に転移した。


直後に鳴り響く発砲音。


油断してしまったな。

どうやら隠密を使っているやつが攻撃してきたようだ。

索敵と調査で見付けられるか?


無事に隠れている奴らを発見し、奴らの死角になる場所に降り立つ。


人間相手にいきなり発砲してくるとは、まともな集団ではないだろう。


奴らは数で勝っているので、強気に要求を突き付けてきた。


「空を飛べるなんて聞いたことないが、そんなこと出来るならアイテムボックスも持ってるんだろ?

食料と連れの女を置いてけば命は助けてやってもいいぜ?」


「可愛いねーちゃんだったから、暫く楽しめそうだな!うちの女どもは何の反応もしなくなって面白味がなくなっちまったからな!

おらっ!早く出てこい!」


既に敵対者として排除は確定しているが、屑どもなら気兼ねなく殺れるな。


綾子が、どうしますか?と聞いてくるので、攻撃してきた奴を生かしておくつもりはないよ、と答えた。


全員が隠密を発動していたということは、覚醒者だよな?覚醒者と戦うのは初めてなのにいきなり八人か、油断せずにいこう。


軽く打ち合わせをして、綾子と俺にステルスをかけてから敵の背後に転移する。


直後に下半身を撃ち抜いていく。

流石覚醒者だ、ウィンドカッター玉をくらっても生きているな。


まぁ、動ける様にも見えないが。


俺の指弾をくらったやつは、可哀想に足が千切れてしまっている。


感知系を持っていたのかな?三人はすぐに物陰に隠れたので、攻撃出来ていない。


「なんだ?!いつの間に後ろに移動しやがった?!」


応えてやる必要もないな。


残りの三人も足を破壊してから、他の五人のもとに投げ捨てる。


全員が呻きながら命乞いをしているが、聞くわけないだろ?

念のため、間に障壁を張ってから鑑定でステータスを見てみる。


レベルは皆一桁で、解放ツリーは支援樹のみかプラスして強化樹持ちもいるな。

魔法って人気ないのかね?こいつらは脳筋っぽいからかもね。


頼む!止血してくれ!このままじゃ死んじまうよ!等々騒ぐバカどもに拠点の場所と他に仲間がいるのかを聞いてみる。


誰が教えるか!と強気なのはバカなのか?逆らえる立場なのかも分からないのかね?


バカに理解させるのも面倒なので、なんだ?仲間を呼んできてやろうと思ったのに、助けはいらないみたいだな、と立ち去ろうとすると慌てて答えだす。


嘘なら嘘で構わないので、全員に止めをさしてから教えてもらった場所を目指す。


意外だったのは人間を殺しても経験値が貰えた事だな。

俺も綾子もレベルアップしたのだ。

覚醒者のみなのかは分からないが少なくとも覚醒者を殺すと経験値が貰えることが分かった。


奴らの拠点と教えられた場所には、先客が押し寄せていた。

三人を守りに残していたようだが、六人の集団に襲われて殺られてしまっている。


綾子にも隠密を取ってもらったので、ステルスと合わせればそうそう見つかることもない。


中に入って様子を伺うと、囚われた女性を助けにきたグループみたいだ。

ボーッと遠くを見つめるだけで反応のない女性を泣きながら抱き締めている。


悪い奴らではないのかな?

拠点の場所だけ把握して、今後は様子を見ていこう。


彼らは大きな病院を拠点としていて、30人程の人間が集まっているみたいだ。


いつの間にかいなくなってしまった三人の女性を探していたらしい。

隠密を使って拐ったんだろうな。


旦那さんか恋人なのかな?三人をそれぞれ介抱している男性を、他のメンバーが気の毒そうに眺めている。


敵対グループの外に出ていた8人は攻撃してきたので殺しました。再度襲ってくることはありません。

とのメモをテーブルに置いて出ていくことにした。


そろそろ昼食の時間だが、この辺りで食べる気にならず、富士山の頂上に転移して食べる事にした。


綺麗な景色を見ながら弁当を食べて、少し暗くなっていた気分も回復してきたな。


探索を再開しようか!と立ち上がった俺に、綾子は優しく抱き締めながら、私達はとても幸せですね。あなたに守ってもらい安全に暮らせているのだから。

と言ってくれる。


これからも絶対に守っていくよ、と答えると皆で協力して、この暮らしを守っていきましょう!と笑顔で言ってくれる。


そうだな。皆で守っていこう!


真面目に宣誓したのだが、綾子の柔らかい感触に下半身が覚醒してしまっている。


気が付いた綾子は可愛く、いいですよ、と撫でてくるのでもう無理です!

二人で幸せを感じながら、じっくりとお互いをむさぼり合いました!


燃え上がりすぎて、時間も遅くなってしまったので拠点に戻ってきた。


夕食まで少し時間があるので、今日のグループの話をしてみる。

皆が可哀想だね、と言って暗くなっている。


「どこまで手助けするかとか決めてないけど、この拠点の隣に集落を作って、まともそうな人達を住まわせるのとかどうだろうか?」


と聞いてみる。

反応はまちまちだな。


男に酷い目にあった経験のあるメンバーは、たしかに少し怖いよな。

人が増えればトラブルも発生するだろうし。


「先の話しになるけど、子供達が大人になった時に他に人がいないのは可哀想だと思うんだよね。

伴侶を作れないで、寂しい想いをする事になってしまうんじゃないかな?

俺達の子供も産まれてくるけど、半分は血の繋がった兄弟しかいないんじゃ困ると思うんだよね」


「確かに」

「そうだね」

「子供達かぁ」

「困るね、それは」

「今すぐに結論は出せなくて良いけど、皆で考えなければいけない事だと思うんだ。

ゆっくりと考えていこう」


「「「「分かったー」」」」


その後は皆で夕食を食べて、それぞれ過ごしていく。


俺と綾子は部屋で二人で休んでいる。


「雅人さんは、心配ではないのですか?

周りに他の男性が増えたら、私達の誰かがとられてしまうのではないかとか」


「心配ではあるんだけど、自分一人を愛してくれる人が良いって思ったとしても、それは仕方ないとは思ってる。

本来女性ってそういうのを望んでる人が多いでしょ?」


「それは、そうかもしれませんね」


「でしょ?色々と問題もあるからすぐにではないけど、考えていかなければいけないかな?」


「分かりました、私達も考えてみますね。

でも今は雅人さんしか考えられませんよ?」


ありがとう、と言って二人の夜を楽しんでいく。

色々と考えることが多いけど、そんな中でも可愛い綾子の温もりは俺を奮い起たせ…

今日も素敵な夜を過ごしました!大変良かったです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る