第81話 二人で探索

今日も朝食をとりながら打ち合わせをしているのだが、子供達の意見が別れてしまった。


今日は子供達と出掛ける予定なのだが、穂香はレベル上げをしつつ戦闘の練習をしたいと言い、彩香は遊びたいと言う。


遊びながらレベル上げが出来る事を考えるか?でも穂香は真面目に戦闘の練習をしたいのだろうし、どうしよう。


困っていると女性陣が穂香だけ連れていってあげてと言う。

彩香は遊びたいだけだし、出掛けるって事もしっかり理解していないから、大丈夫だそうだ。


ここは女性陣の提案を受け入れさせてもらう。


戦闘がメインになることが決まると、未来と和美がそれなら服も選ばないとね!と言い穂香を連れて出ていってしまう。


どんな衣装になるのか心配だな。

普通の服でいいんだよ?


取り敢えず俺も着替えるために部屋に戻ってきた。


着替え終り部屋を出ようとすると、未来がやってきて持ってきた服に着替えてと言われる。


逆らっても無駄なので大人しく着替えてみると、カンフー服?チャイナ?よく分からないがそんな感じの服だな。


穂香はもう少しかかるから部屋で待っててと言って未来は部屋を出ていく。


行き先でも考えて待つことにする。

近場は雨が降ってるので無しにして、天気を調べられなくなったのは不便だな。


梅雨のない北の大地にしようかな?

冬の間、活動が少なかったからか、北の大地のモンスターは少しレベルが低いので穂香にちょうど良いかもしれない。

それに景色も良いし悪くないだろうな。


行き場所も決まったタイミングで扉からノックの音がした。

どうぞ、と言うと扉を開けて穂香が顔を出す。


俺の格好を見て覚悟が出来たのか部屋に入ってきた。

うん、カンフー少女だね。頭の左右に団子の様に髪を束ねて、服装はカンフーしてそうなチャイナっぽい感じだな。


どう?って感じで見つめてくるので、可愛いねと言うと嬉しそうに笑ってくれた。


先ずはステータスの確認をしてみよう。

ステータスを見せてもらうから好きなとこに座って、と言うと何故か俺の膝の上に座ってくる。


鑑定で見るつもりだったが、直接見せようとしてくれたのかな?

穂香の頭越しに共有してくれたステータスを見せてもらう。


名前 戸田穂香

性別 女性

年齢 12

レベル 10

解放ツリー 支援樹

スキルポイント 0

HP 570/570

MP 500/500

攻撃力 69

耐久力 67

俊敏性 74

魔法力 76

精神力 66

魅力 69

スキル:身体強化・防御膜・魔力操作・短刀術・アイテムボックス・念話・気配感知・投擲術


レベルはまだ低いのに、しっかりと考えたスキル構成をしているな。

投擲術も取ってくれているのでレベル上げが楽になりそうだ。


投擲に使うのは服装に合わせた方が良いのか?今回だけの服装なら皆と同じクナイで良いのか?


穂香に聞いてみると皆と同じでいいそうだ。

クナイを100本取り出して穂香のアイテムボックスにしまってもらう。


もっと持たせておきたいのだが、彼女らのアイテムボックスは触れた物しか収納出来ないので100本でも時間が掛かる。

少しずつ追加していこう。


準備が出来たので穂香を降ろして立ち上がると、穂香はしっかりと抱き付いてくる。


間違った知識を教えてしまっているが、訂正するのもなんなので、そのまま転移した。


確認してなかったが北の大地は晴れていたので良かった。


志帆と向かったのとは違う方向を探索していこう。


二人に浮遊と飛行をかけて飛び立つと穂香は大喜びだ。

子供らしい反応に俺も楽しくなる。


少しアクロバティックな飛行を楽しんでいると、モンスターの反応が現れる。


穂香にクナイを準備するように伝え、モンスターに近づいていく。


鳥型のモンスターだな。向こうも気が付いたようで近付いてくるので、こちらは止まり狙いを定めてもらう。


20m程の距離まで近付いたので、いつでもいいよ、と伝えると穂香がクナイを投げる。


モンスターはバカなのか、真っ直ぐに向かってきてくれるので、見事命中する。


このサイズのモンスターなら穂香でも一撃でいけるようだ。


だが連投はまだ出来ないので、次に向かってくるモンスターには間に合わなそうだな。


空中では好きに動けないだろから、下の広い道路に降りる。

周りを空間固定の壁で囲んで、作戦を穂香に伝えていく。


モンスターにスローの魔法を掛けるので、クナイの投擲と短剣での接近戦を練習してみようと言うと、頷いてくれた。


俺は周りにいる5体の鳥モンスターにスローを掛けて、空間固定の壁を解除する。


穂香は一番近いモンスターにクナイを投げて倒し、その隙に近付いてきたモンスターを短剣で切り付ける。


おおっ!結構戦える様になってると女性陣から聞いてはいたが、5体のモンスターに囲まれても慌てないで対応してるのは凄いな!


少し時間は掛かったが無事に5体のモンスターを倒した。

穂香の頭を撫でながら凄いな!よく出来てたよ!と褒めまくる。


ほんと?と穂香も嬉しそうにしている。

次は地上のモンスターとやってみるか。


一体でいるのを探してみよう。


いないな。基本群れで行動している様だな。

考えてみればモンスター同士も殺し合うのだから、単独でいたら生き残れないか。


諦めて5体でいた羊かな?のモンスターを攻撃してもらう。

クナイは少し傷を付けるが刺さらないみたいだな。


向かってくるモンスターの一体にスローをかけ、残りの四体は時間停止で止めておく。


穂香は動きの遅くなったモンスターと危なげなく戦えているが、与えるダメージが少な過ぎて倒すのはまだ無理そうだ。


もう少しレベルアップするまでは我慢してもらおう。


穂香が攻撃をして傷付けたモンスターに俺が止めを刺していく。


一時間程、繰り返しているとついにレベルが上がったようだ。

攻撃力を上げたいので剛力のスキルを取ってもらおう。


その後は穂香の攻撃もダメージをしっかりと与えられるようになり、狩りのスピードは格段に早くなった。


昼になったので食事にしようと言っても、今良い感じだからもう少しやりたいとの要望に応えてるうちに二時間もたってしまっていた。


流石に疲れも見えてきたので、食事をする事にする。もう少し、と言っても流石にダメです!


弁当を食べていると、穂香は今にも眠ってしまいそうになっている。

なんとか弁当を食べさせて、片付けも終ると、穂香は俺にもたれ掛かり眠ってしまった。


頑張ってたから仕方ないな。

今日の半日で4もレベルを上げたのだ。

まだ低レベルな事を抜きにしても、よくやったと褒めてあげたい。


少し寝かせた後、拠点に連れて帰ろう。


二時間後に目を覚ました穂香は、もう少しだけ!と懸命に訴えるのでレベル上げ継続です。

うるうるした目で訴えられたら断れないでしょ?


穂香は凄いな。

なんと言うか、戦闘を楽しんでいる?

楽しんでやっているからレベル上げが苦にならないみたいだ。


俺が索敵でモンスターを探して、その場にすぐに転移で移動して倒す、これの繰り返しを楽しそうに行っている。


可愛らしい女の子をこんな風に育ててしまって良かったのだろうか?おじさん、将来が心配です!


もうひとつレベルが上がったそうなので、今日は終わりにして拠点に戻ってきた。


夕食の時に今日一日で5もレベルアップしました!と報告するとスパルタ過ぎ!と怒られた。

穂香が私がもっとやりたいって頼んだの、とフォローしてくれて何とかおさまった。


やっぱやりすぎだよね?今後は気を付けます!


その後は、彩香を置いて二人で遊びに行ったと拗ねる彩香を宥めるのに苦労したが、何とか許してもらい俺の部屋で無事に寝かし付かせた。


俺達も寝ようか、とベッドに横になると穂香が腕に引っ付きなから、私のせいで皆に怒られちゃってごめんねと言ってきた。


気にしなくていいよ、と言って頭をなでてやると穂香もすぐに眠りについた。


疲れたんだろうな。お疲れさま。

こんな穏やかな夜も良かったです!

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