第68話 のんびり生活
防壁作りを始めてから一週間がたち、今現在出来る最高の物が完成した。
防衛設備として土球を打ち出す物と風壁でモンスターを押し返す物を設置した。
地上からくるモンスターは、この二つで大抵が離れていく。
空からくるモンスターは多少侵入されるが、防衛隊が排除するので問題ない。
魔力の補充も空気中から行えるので、大群に継続して攻められなければ大丈夫だろう。
定期メンテナンスは必要だがな。
防衛設備よりも、女性達との畑作りの方が大変だったな。
まだまだ完成ではないが、区画分けや道の整備などやることが沢山あった。
終わった所から土を耕し、種を植えていっているが、ほんの一画しか終わっていない。
あとは女性陣が少しずつやっていくそうだ。
出来るか分からないがゴーレムでも作る?と聞いてみたが、自分達でやるのが楽しいからいらないと断られた。
畑が上手くいけば野菜や果物の確保も問題なくなるな。
料理スキルを取ってくれた人もいるし、魚介類の確保をしてこようかな。
夜にでも皆に相談してみよう。
今後の事を皆で話すのって楽しいんだよな。
俺では思い付かない案が出てくるかもしれないしな。
果樹区画にリンゴの木を移し、俺の今日の作業は終了とした。
夕食を食べながら、今後の予定を話しつつ相談してみる。
「俺はもう何日かしたら、魚を取りに行こうと思うんだけど、調理は出来そうかな?」
「料理スキルを取ったら食材の加工方法も知識と技術が得られてるので、問題なく調理出来そうですよ。
魚介は缶詰しか無かったので楽しみですね」
「そっか、じゃあ獲ってきたら任せるね。
あと拠点周りのモンスターは大分減らせているみたいだね。
レベル上げとかしたい人には物足りなくなってくるかもだけど、遠征とかしたいかな?」
特に遠征してまでレベルアップを望んでないそうだ。
覚醒者の寿命についても思っていたことを相談してみる。
話していると更に色々と考えが浮かんでくるので、その辺もついでに聞いていく。
今レベルを無理に上げずに、また加齢が進んでから上げた方がもしかしたら良いのかも?とかレベルに上限が無かったら不死になってしまうのか?なども話してみる。
先の事は分からないが、皆で長く暮らせるのは嬉しいね!と楽しそうなので、俺も深く考えるのはやめて、楽しく暮らせる事だけを考えよう。
他にも拠点での生活にゆとりが出てくるので何かやりたい事が新たにないかとか、子供達に学習の機会を用意しないととか、皆からも意見をもらった。
学習の機会か、確かに穂香や彩香、今後産まれてくる子供達に何かしらの教育は必要だよな。
世界が完全に元通りになる事はないと思うが、読み書き計算くらいは教えておきたいよな。
穂香は読み書きも計算も、もう習ったから大丈夫!と言っている。
勉強嫌いなのかな?
好きな子供の方が珍しいか。
また、虫のモンスター化も確認できているので、ポイントに余裕が出来たら何かしらの感知系のスキルも取った方が良いと伝えておく。
モンスター化して大きくなっているので、以前よりは視認しやすいが、それでも見落としやすいサイズだからな。
ただ虫モンスターのサイズについては、不明な点も多い。
大きすぎるのが数体確認されている。
異常個体なのか、そもそもサイズに上限がないのか分かっていない。
まあ、動物モンスターにサイズの上限があるのかも確定してはいないが。
魔力を多く吸収すると際限なく巨大化するならヤバいよな。
モンスターをハントするゲームの世界みたいに巨大モンスターを狩る世界になってしまうのかな?
色んな話しに飛びながらも、今後の生活について考えてもらったが、そんなに簡単に決まらないよな。
急がなくていいから、何かあったら教えてと言っておく。
次の日、朝から自衛隊の様子を見に来ている。
うちの方で虫のモンスター化が確認され出してるので、南下したこちらでは、更に多くの虫が発生しているのでは?と思ったからだ。
やはり虫モンスターに悩まされている様だな。
建物を完全に封鎖して虫モンスターの侵入を防いでいる様だが、お陰で外の畑は手入れされずに枯れてしまいそうだな。
何とか実っている物も、虫や鳥のモンスターに食われてしまっている。
なんか鳥モンスターのサイズもデカくない?
結構ヤバい状況なのでは?お偉いさんの様子はどうだろうか?また会議でもしてないかな?
ありがたいことに会議してるな。
朝早くからご苦労様です!
「物資回収に出た部隊はまだ戻れないのか?」
「無線で確認したところ、急いではいますが、3日はかかるそうです」
「そうか、畑の作物は諦めるしかなさそうだな」
「はい、既にほぼ食い尽くされてしまっています。
それに戦闘部隊が揃っていたとしても、あの数を相手に作物を守るのは不可能だと思われます」
「それでは、今後作物を生産出来なくなるではないか!
新たに生産していかなくては、人類は生きていけなくなってしまうぞ」
「今後、虫への対策を進めてから育て直すしかないです。
また、以前議題に上がったモンスターを食料としていく案も実行していかないと、生活を維持できないでしょう」
「テストは進めていたのだよな?」
「はい、検査で毒性の無かった肉は、食べても異常の出たケースはありません」
「分かった。
そちらはすぐにでも実行に移してくれ」
「承知致しました」
へー、ここではモンスター肉は食べてなかったのか。
そりゃ食料が足りなくなるよな。
何人いるのかな?千人くらい?
この人数を助けるのは、俺には無理だな。
俺達だけなら100年以上、生きられるだけの物資を確保してあるが、桁が違うからな。
この県より南はまだ調べてないが、どのくらいの生存者がいるのかな?
ここみたいに保護してあげるだけでは、成り立たなくなるぞ?
これ以上モンスターが強化される前に、覚醒者を無理矢理にでも増やさないと養いきれないだろう。
現に避難民達は基本なにもしていない。
一部、生活周りの事や男性のお相手等して報酬を得ているものもいるようだが、本当に一部だ。
大抵の者が、食べて寝てを繰り返すだけ。
命懸けでこんな人達を養っていくのか?
凄いな自衛隊、俺には無理だ。
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