第67話 のんびり生活

目が覚めて、忍者な沙季と遊びたいところだが、穂香を待たせるのも悪いのでダイニングに移動した。


ダイニングに入ると穂香が期待した眼差しを向けてくる。


「ちゃんと穂香の短刀出来てるよ」


穂香は嬉しそうに駆け寄ってくる。

短刀術を持っているので、普通の大人よりよっぽど扱いが上手いだろうが、気を付けて扱うように!と一声掛けて、鞘に入った短刀を渡す。


「カッコいい!ありがとう!」


穂香は嬉しそうに短刀を受け取る。

喜んでくれて何よりだな。


「沙季お姉ちゃんの戦闘服もカッコいいね!」


「穂香ちゃん、ありがとう!

穂香ちゃんも好きな衣装が決まったら、未来お姉ちゃんと和美お姉ちゃんに頼むと良いよ。

カッコいいの作ってくれるから」


なんと!あの衣装は戦闘で着る服だっのか?

コスプレ忍者だよ?防御力はあるの?防御膜を張るから関係ないのか?心配だから、皆の戦闘用の服に強化と自動修復の付与をしておこう。


オートヒールのネックレスもあるから、何とかなるだろう。

もちろん、後から合流した綾子と友美にも同じのを渡してあるので安心だ。


皆に戦闘服が出来た人には、スキルを付与させてと頼んでおく。

今のところ沙季だけらしい。

それなら今、パパっとやってしまおう。


スキル付与を行い、動きに違和感がないか確かめてもらう。

問題ないようだな。


皆で朝食を済まし、作業に移る。

俺は防壁作りだな。


あまり高くし過ぎると、時間によっては日陰が増えてしまうので、3mの高さにしておく。


東西南北に門を作り、出入り出来る様にしよう。

女性達が作業しているのは北側なので、反対の南側の壁と門を作る事にする。


スキルと魔法の使い方にも慣れてきたので、昼前には南側での作業は終わった。


皆で昼食を食べていると、雨が降ってきた様だ。

外での作業はやめておこう。


女性陣は午後からはのんびりするみたいだな。

俺は何しようかな?映画でもみるか?

皆の様子を見ながらゆっくりと考えよう。


暫くリビングで子供達と遊んだり、漫画を読んだりしていたが、快適な生活だよな。


以前は休みの日とは、仕事の疲れを取るだけで過ぎていってしまい、仕事を続ける為にあるみたいな感じだったな。

生活の中心が仕事だったんだよな。


今は皆との生活が中心で、それに必要な事だけをしている。

時間で考えると以前より長い時間、作業している日もあるのに苦痛を感じないのは、気の持ちようだろうか?


なんとなく老後にやりたかった、田舎暮らし?スローライフ?そんな感じの生活が出来ている気がする。


老後ではなく身体は逆に若返ってしまっているが、毎日がのんびりとしていていいな。


覚醒者に寿命ってあるのだろうか?レベルアップの上限はあるのかな?レベル上げをやめたら、肉体の加齢はまた以前の様に進むのかな?

皆と一緒にゆっくりと確かめていこう。


次の日も朝から防壁作りを行い、午前中に東側を終了させた。


午後からは植物モンスターを解析で調べ、可能であれば新しい魔道具を作りたいと思っている。


たぶんモンスターは魔力を取り込み、魔石を強化する事でレベルアップしていると思われる。


この仕組みを魔道具で再現できれば、空になった魔石に魔力を補充したり、そもそも空気中の魔力だけで稼働する魔道具を作れたりしないかと思った訳だ。


動物モンスターは調べている間、ずっと動かないでいさせるのは、きーちゃん達に頼んでも苦痛だろう。


その点、植物モンスターは元から動かないので苦痛を与える事もなく、ゆっくりと調べる事が出来る。


魔力感知や解析で仕組みを理解していく。

これで製作のリストに出てこないかな?


おおっ!魔力充填器なる物が作れるみたいだぞ。

予想が当たっていたようだ。


魔石を電池に見立てて使う魔道具はリストに表示されるのに、充電器の様な物は出なかったんだよな。

充填する仕組みの理解が足りてないのでは?と思って今回調べてみたが当たりだったらしい。


想像だけで何でもとはいかないが、ある程度仕組みを理解するだけで良いなら、やはり便利だな。


魔石の在庫は万単位であるのだが、何時までも安定して手に入るか分からないので、エネルギーの確保は必要なのだ。


考えてみると、俺達だけでかなりのモンスターを倒してるよな。

女性陣も周辺に狩りに出れば、一日で数十体は倒しているし、俺も探索に出ればそれなりに倒している。


半年もそんな生活をしていれば、それなりに魔石も貯まるのか?それにしても多くない?冬の間、雪に閉ざされる地域のモンスターが皆この辺に集まって来ていたのかな?それもあって、この辺は放棄されたのもあるのかもな。

大分減ってきたが普通に生き残れる環境ではなかったのかもな。


調べた感じでは、少し南にある野生の観察公園や、動物王国にいた猛獣がモンスター化して、その辺りは普通に通過出来る環境にない。

これからも北側に移動してくる人はいないだろうな。


なら良いよね?多少目立つ設備を作っても。


エネルギー問題も解決しそうなので、設置型の防衛設備も作っていきたいな。

出来れば結界みたいので覆えれば最高なのだが、まだ成功しないんだよな。


想像力が足りないのか知識が足りないのか、魔法でも製作でも作れそうにない。

スキルの防御膜を広範囲にってだけでは足りない様だし、色々探っていこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る