第66話 のんびり生活

避難所の偵察から戻り、皆と夕食を食べながら報告会をおこなう。


女性陣は順調に更地を広げていて、もうすぐ予定している分が終わるらしい。

早めに畑を作って、今の時期から種をまきたい野菜が沢山あるのだそうだ。


大根、白菜、キュウリ、ミニトマト、枝豆、ゴーヤ…

沢山あるんだね。


外に出ているメンバーに危険はないか聞いてみたが、今のところ苦戦するモンスターはいないらしい。


たまに数が多い時は、家にいるメンバーに念話で伝えて援護してもらうのだそうだ。

連携もバッチリなんだね。


更地化の作業は、離れていても家から300mもない場所なので、すぐに駆け付けられるので心配ないとの事だ。


畑がモンスターに荒らされない様に壁でも作る?と聞くと、手間じゃなければお願いしたいと言う。


農作業中の皆の安全にも繋がるので、手間なんて事はない。

明日から少しずつやっていこう。

防衛隊も増やして、畑まで防衛範囲を広げる事にしよう。


ところで今日は何かのお祝いなのか?夕飯がそんな感じなのだが。

お赤飯にちらし寿司を初め、色々とお祝いメニューが並んでる。


誰かの誕生日か?でも今まで誕生日の話題など出たことがない。

祝われたい年齢を、越えてしまっている者もいるからかな。


その内に誰かが教えてくれると思って待っていたが、発表される気配が無いぞ?

こちらから聞くのを待ってるのか?


「今日の夕飯は、めでたい感じのが多いけど何かお祝いかな?」


「分かりましたか?今日は穂香ちゃんのお祝いなんですよ。大人の仲間入りしたお祝いです」


流石に分かった。

そうか、男が何と言うべきか分からないのでおめでとう、とだけ伝える。


ありがとう、と恥ずかしそうにしてるのは可愛いな。


お祝いに、何か欲しいものがないか聞いてみると、短刀が欲しいと言う。

マジで?短刀って女性の欲しい物ランキングに入ってる?


「私もお姉ちゃん達とモンスター倒しに行きたい。

だから、ちゃんとした短刀が欲しいの。

駄目かな?」


女性陣に視線を向けてみる。


「私達がしっかり見てるから危険な事はさせないよ」


「私は子供が産まれるまで家にいるから、彩香の心配はないよ」


女性陣は応援するようなので、俺も反対する理由は無いな。


「お姉ちゃん達の言うことをしっかりと聞けるのなら、問題ないよ。

どんな短刀が良いのか選んでみようか」


「やった!ありがとう、お兄ちゃん!」


喜んでくれて何よりだな。

まだ体が小さいから、短刀のサイズもちゃんと選ばないとな。


俺は見本に色々なサイズの短刀を作っていく。

握りやすさや、重さ、振ってみた時のバランス等、穂香に合うものを探していく。


良いところ取りをした短刀を作り振ってみてもらう。

なかなか良さそうだな。

本人も問題無さそうなので


「よし!これを基準に最高の短刀を作っておくから、明日まで待っててね」


「ありがとう!お願いします!」

穂香が嬉しそうなので、俺まで嬉しくなってきた。

頑張って良い物を作ろう!


その後、部屋に戻って穂香の短刀を作っている。

女の子用とはいえ、実戦で使うので下手な装飾はせず、カッコいいのを作ろう。


性能を良くし過ぎて、実力を過信しても良くないので、付与は他のメンバーと同じで強化のみにしておく。


強化だけでも、切れ味が良くなり耐久性も上がるので、モンスターにダメージは与えやすくなる。


カッコいい短刀が出来た。

穂香はまだ体格も成長するだろうから、今後も成長に合わせて作り直していこう。


穂香の武器の出来映えに満足して眺めていると、沙季が部屋にやってきた。

穂香の短刀を見て、カッコいいし使いやすそう、と褒めてくれる。


沙季も短刀を使っているので、分かるのかな?沙季は短刀から視線をこちらに向け、私に刀を作って欲しいと言ってきた。


使用武器を変えるのかな?

全く問題ないが聞いてみると、戦闘をメインで行っていた志帆が、出産に向けて休みになったので、志帆のやっていた前衛のポジションを出来る様にしていきたいのだそうだ。


確かに志帆は銃術と剣術の両方を持っていてので、近距離と遠距離を両方こなせたんだよな。


それで足りなくなる戦力を考えた時に、前衛でダメージを与えられる刀術を取る事にしたのだそうだ。


これも全く問題ないので快諾する。

穂香の時の様に、色々な形やサイズの刀を作り、沙季に合う刀を探っていく。


これまた満足のいくものが出来上がった。

製作とか錬金魔法がどう作用してるのか分からないが、思い描くだけで簡単に出来るのは良いな。

魔力はそれなりに使うが、俺にはこのくらい問題ないしな。


刀を仕上げている間に着替えてくる、と出ていっていた沙季が女忍者の格好で戻ってきた。

下が短いスカートみたいになってるタイプのだな。可愛い。


短刀と刀を腰に差し、見事さまになっている。

色々なポーズをしてもらいながら、最後は…

ね!それはもう、あんな…や、こんな…まで。


そんな事されたら堪りません!じっくり、ゆっくり楽しませて頂きました。

今日も大変良かったです!

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