第58話 役割分担

拠点に入ると、畑で数人の女性達が作業をしているようだ。


こちらに気付き、肩に乗る二体を見て驚いているので説明する。


ずっと大人しくしている二体に、少し警戒心を解いてくれたようだ。


今のところ二体には、拠点の防衛や皆の護衛をやってもらいたいと思っているので、女性陣には早く慣れてもらいたい。


最近の女性陣は、拠点周りの整備を積極的に行っている。


建物は解体してアイテムボックスに入れ、更地を広げていっている。


女性陣のアイテムボックスは触れている物しか回収出来ないし、取り出しも手元にしか出来ないそうで、一気にとはいかないそうだが、少しずつ広がってきている。


アイテムボックスの瓦礫は、拠点横に集めてもらい、俺がアイテムボックスで解体・合成して、資源となるものを保管している。


この作業中の女性陣を護衛してもらいたい。


作業しながら周辺に気を張り続けるのは難しいからな。


辺りが暗くなる前に、外に出ていた女性達も戻ってきた。


春になり日が長くなってきたが、夜はまだまだ寒いからな。


戻ってきた女性達にも、驚かれる前にテイムした二体を紹介する。


いつの間にか仲良くなっていた子供達が、名前を付けていたようだ。


きーちゃんとくーちゃんらしい。


名前はきーとくーなのか?

ちゃんまで入るのか?

まあいいか。


黄色が混ざってる方がきーちゃんで、白黒の方がくーちゃんね。


屋上に防衛隊が魔石を交換する小屋があるのだが、その隣に鳥小屋も作ろう。


夕食を食べながら、外の作業状況を聞いてみる。


予定している半分位まで進んでいるそうだが、そんなに更地を広げて何するのだろうか?


聞いてみると、本格的な畑を作りたいらしい。


多く作っても、俺のアイテムボックスに入れておけば問題ないのだから、作れる内に出来るだけ作っておきたいのだそうだ。


確かに今後も安全に農業が出来るか分からないからな。


俺も食料確保をもう少し頑張るかな。


米は今のメンバー分なら、困らないくらい確保してある。


肉は次元空間の豚と牛の牧場が今のところ上手くいっているが、鶏の方は雌しかいないからな。


雄を探してこないと、いずれは絶えてしまう。


卵は今後も手に入れたいので、早めに探しにいこう。


野菜に関しては、このまま女性陣に任せて、俺は他の食材を確保するために動くべきだな。


調味料とかも一年くらい賞味期限がありそうだが、早めにアイテムボックスに回収しないと間に合わなくなってしまう物もあるだろうしな。


今でもそこそこ確保してあるが、足りなくなってからでは手遅れだからな。


今後そういうものが新たに生産される可能性は低そうだ。


悠長にマップ埋めしてないで、全国の食料品店を優先して回ろう。


都心は避けて地方からがいいかな。


他の生存者が狙わない所を優先していこう。


ひとまず女性陣は拠点周りの整備と、畑での食料生産をする。


俺は自分達では生産の難しい、調味料や加工食品の回収だな。


女性達に話を聞かなければ手遅れになっていたかもな。


皆にお礼を言い、今後も皆の意見を聞きながら、役割分担していきたいと伝える。


次の日から俺は、雪に閉ざされる前に人々が避難してしまったと思われる、北に向かって探索を進めていった。


大きめな道路沿いにある店舗を中心に、物資を回収していく。


まだ雪が多く残っているため、モンスターは殆ど見あたらない。


今回早めに回収に来て良かったな、もう少し温かくなっていたら食品が腐り、臭いが充満したり虫がわいたりで、回収に苦痛を感じただろう。


その後も北上しながら、見かける店舗からは物資を回収しつくしていく。


本来の持ち主には申し訳ないが、俺達が無事に生き抜くのが最優先だ。


途中りんご農園があったので、地面ごと切り取って、30本程りんごの木を次元空間に移しておく。


モンスター化させても実が成るのかや、テイムして実を作らせられるかなど試したい。

そっか、ビニールハウスのイチゴでも試してみよう。


そうこうしていたら海に着いてしまった。


どうしようかな?海を渡るか?向こうの特産品は何があっただろうか?じゃがいも・米・メロン?これくらいしか思い出せないな。


まだ少し時間もあるから、渡るだけ渡っておこう。


転移出来る場所は広げておいて損はないからな。


海を上空から観察しながら飛んでいく。


多分、海の生物もモンスター化してるっぽいな。


全部かは分からないが、それっぽいのをたまに見かける。


何体か倒して、味を調べてみよう。


魚の種類は詳しくないので、適当に倒してアイテムボックスに入れておく。


おっ?着いたみたいだな。


マップで見てみても、新たな大地が表示されている。


今日はここまでにして家に帰ろう。


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