第53話 今の日常

目が覚めて隣を見ると、綾子と目が合った。

ずっと見られていたらしい。

「こんなに素晴らしいものなのですね」

そう微笑む綾子に、そっとキスをする。

恥ずかしそうにする綾子に、クリーンをかけて食堂に移動する。

食堂では、仲間を歓迎する女性達が待ち構えていた。

連れられて行く綾子、からかわれる俺。

何時ものパターンだな。

こんな日常を、これからも過ごしていきたいな。

食事を終えると亜季から、今日の探索は一緒に行く?と確認される。

どうしようかな?皆のレベルが上がり、狩りも安心できる様になってるんだよな。

今日は都心に向けて、マップ埋めと探索をしてくる事にしよう。

綾子達がいた病院まで、転移で移動した。

人の反応は無いので、他の人達も移動したようだな。

使われなくなった器具や薬品を回収しておく。

マップ埋め再開だな。

途中で店舗を見付けては回収し、モンスターを見付けては倒して行く。

何時もはモンスターを無視するのだが、皆がレベル上げを頑張っているので、俺も頑張ろうと倒していく。

でもスキルポイントの使い道が、無くなって来てるんだよな。

魔法も全部(S)まで上げてしまったし。

各魔法の(S)も流石(S)って感じの魔法を取得出来た。

火~闇の魔法はそれぞれ、○態化という魔法だった。

火態化は文字通り身体が火になる。

便利な事に、装着しているものも一緒にだ。

錬金魔法は時空魔法と同じく特殊で、疑似生命体生成という魔法だった。

魔石+素材もしくは素材+魔力(大量)で作れるらしい。

まだ試してないので詳細は分からない。

疑似とはいえ、生命体を作り出すのは…

寿命があるのかとか、意思があるのかとか簡単に作って良いのかな?と思ってしまっている。

一度は試す必要はありそうだが、また今度だな。

という事でスキルポイントの使い道が、強化樹の残りの項目を上げるか、支援樹のスキルしかない。

支援樹の完全制覇を目指すか?

よく分からないのでも、あって損はないだろうし。

そんな事を考えながら進んでいく。

都心まで進んだら、その後はどうするかな?

日本海側を埋めるか?あっちは雪が多いから近づいてないが、春になったら見に行ってみよう。

それとも今の方が、雪で動物も動けないから無事な施設や物資があるのか?

気になってきた。

明日、軽く見に行ってみよう。

そのまま南下を続け、有名なネズミがいるテーマパークに到着した。

子供達が喜ぶかな?とぬいぐるみや期限の切れていない商品を回収していく。

食品は大抵駄目だな。

カチューシャ?は子供達や女性陣にも着けてもらったら可愛いだろうな。

持っていこう。

この大勢が座れるボートも、皆で空中移動するのに良いな。

ゴンドラでは床に座ってたからな。

色々と回収していく。

おっ?人が来るな、避難しよう。

この県に入ってから、結構な数の生存者を確認している。

自衛隊の基地が何個かあって、それぞれに数百?数千?数えるのも面倒な程の人が生存していた。

自衛隊員の多くはステータスを獲得しており、レベルが俺と近い人もいた。

どれだけのモンスターを倒したのだろうか?

経験値補正のスキル無いよね?

色々と調べたかったが、夕方に近付いていたため、子供達へのお土産を優先してここに来たのだ。

目的も果たしたので拠点に戻ろう。


食堂に入ると夕食を配膳しているところの様だ。

和美にもう少し待ってて、と声を掛けられる。

ありがとうと返事を返し、何時もの席に座る。

準備が終わり、全員が席に着いたら、いただきますと挨拶をしてから食べ始める。

食べながら今日の報告会だな。

女性陣は、何時も通り周辺のモンスターを間引きしてまわったそうだ。

毎日狩っているが、モンスターの数は減っていないらしい。

繁殖した上に、成長が早かったりするのだろうか?

ゲームみたいに、ポップはしていないと思いたい。

俺の方も、自衛隊の基地に大勢の人が暮らしていたと報告する。

高レベルの者も多く、安全そうであったと伝えると、避難民はどんな生活なのか興味はあるようだ。

今度詳しく見てくるね、と言い俺の報告は終了する。

その後、お土産のぬいぐるみを子供達に渡しとても喜んでくれた。

子供達は今後どうするべきか。

世界が以前の様に戻っていくのなら、教育が必要だろう。

友達も作っていかなければならないだろう。

子供達だけでも、自衛隊に合流するべきだろうか?

それとも全員で合流するか?

近いうちに皆と相談しなくてはいけないな。

それから暫くは、自衛隊拠点の偵察と、雪に閉ざされた方面の探索をしていく。

人の居なくなった民家は、雪の重みで潰れてしまっているのも多い。

モンスターもいないが人もいない。

物流が止まる前に、早めに避難をしていたのだろう。

避難しなかった人がいても、生きていられる環境には見えないな。

一面の雪景色の中を、マップを埋めるためだけに飛んでいく。

大きな建物がいくつも並んでいる。

何かの倉庫の様だな。

なにか良いものが保存されてるかな?

入口は雪に埋もれていて見えないな。

換気扇かな?隙間があるので風態化して隙間から中に入る。

素晴らしい!米の倉庫ではないか。

今でも、それなりの量を確保しているが、いくらでも欲しいからな。

全部玄米だな。

どこかで精米機も、いくつか確保しておこう。

他の建物からも沢山回収出来た。

今日は大収穫だな。

その後もマップ埋めをしつつ、回収出来るものはしていく。

午後からは自衛隊拠点を見に行こう。

自衛隊の拠点につくと、何か慌ただしいな。

話を盗み聞きしていくと、どうやら物資調達に出ていた部隊が帰って来たらしい。

多量の物資の持ち帰りに成功したようで、運び込みを引き継ぐために、人を召集しているようだな。

自衛隊員は、未だに規律がしっかりと守られている。

問題は避難民の方だな。

毎日観察しているが、一部の人間は窮屈な生活に嫌気がさしてきているみたいだ。

特に若い男はな。

気持ちは分かる。

痴漢被害などは頻繁で、強姦未遂も起きたことがあるようだ。

自衛隊員の自制心が強いので何とかなっているが、彼等も人間だ、今後どうなるか分からないな。

自衛隊も馬鹿ではないので分かっているのだろう。

食料や服などを優遇する代わりに、若い女性にそういう行為を促しているようだが、数が全然足りていない。

合流は暫くは様子見だな。

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