第22話 保護

ラブホテルを出て、どこから探す?と思ったがやめた。

老人ホームに帰って来るのだから、それを待った方が楽だ。

血濡れの老人ホームで過ごしたくないので、近所のきれい目な家を探していく。

上空から探すが、どの建物も一階部分は破壊されており、良さそうな物件が見つからない。

老人ホームを中心に、渦を描く様に範囲を拡げて探していく。

すると少し先に人の反応が二つに、モンスターの反応が五つ。

どうやら追われているようだ。

下手に逃げるから、連れてるモンスターが増えていくのだろう。

視界に捉えると逃げているのは子供だ。

10歳位と5歳位の女の子だ。

子供ならではの狭い通路や、穴をくぐり抜け上手く逃げている。

しかし上空からもモンスターに捕捉されているため、そろそろ限界だろう。

それ以前に体力が持たなそうだな。

先陣をきって飛びかかったモンスターを蹴り飛ばす。

首の骨が折れて逝ったようだ。

抱き合い目をつぶっている子供達に、声をかける。

「よく頑張ったな、もう大丈夫だぞ」

腰を落として、目線を合わせ易くする。

二人は恐る恐る目を開け、俺の後ろを見て、目を見開く。

次のモンスターが、飛びかかってくるのが見えているのだろう。

俺の頭から食らいつこうと、大口開けている脳天にバク宙からの膝打ちを喰らわせ、地面と挟んで潰す。

邪魔な死体を、次に向かってくるモンスターに蹴り飛ばす。

死体と一緒に転がるモンスターの、脇を抜けてきた奴の横っ面に、取り出したハンマーでフルスイング。

頭を破壊されたモンスターは動きを止める。

死体と戯れているモンスターに、ハンマーを投げつけて頭を破壊する。

上空で隙を伺っているモンスターを、魔法で二つに切断する。

最後の一体も逃げずに向かって来たため、脳天にアイスソードを突き刺して終わりとした。

改めて振り返り、子供達の無事を確認する。

最初は怯えていたが、笑顔で話しかけるうちに、大分慣れてきたようで、小さい子を左腕で抱っこし、右手はもう一人の子と手を繋いでいる。

「お兄ちゃん強いね!亜季お姉ちゃんも強いけど、お兄ちゃんはもっと強い!」

「ありがとね、二人は何処から来たのかな?亜季お姉ちゃんと、はぐれてしまったのかな?」

「お爺ちゃんとお婆ちゃんのとこからきたの!亜季お姉ちゃんは、お出掛けしてるの!」

と小さい子は元気だ。

「ごめんなさい!私達は老人ホームから来ました。

モンスターに襲われて、お母さんが裏から逃げなさいって、そのあと隠れていたんだけど見つかってしまって」

大きい子はそう言って、泣き出してしまった。

母親が助からないと、分かっているのかもしれないな。

お姉ちゃんが泣き出したからか、小さい子も泣き出してしまう。

暫くすると、二人とも泣きつかれて寝てしまった。

両側に二人を抱っこし、ましな建物を探すために飛びたった。

五階建てのマンションの一室を借りて、子供達をベッドに寝かす。

マンションに住民の気配はない。

マンションどころか、町全体に人の気配が無いが、みんな何処に避難したのだろうか?

流石にあの程度のモンスターに、全員が殺されるとは思えない。

奴らは人間も襲うが、別に人間だけを積極的に殺しにくるわけではない。

上手くかわしながら逃げることも、出来ると思うのだが。

もしかしたら、早期に避難所に行った人達は、自衛隊などが何処かに移送して、そこで暮らしているのかもしれないな。

この辺の店の商品が残っているのも、早期に住民が避難したからかもしれない。

一部取り残されてしまった生き残りが、以前発見した2グループなのかもな。

保護した二人は、老人ホームにいた子達だろう。

強いと言っていた、亜季お姉ちゃんと言うのが、俺がリーダーだと思っている女性で、出掛けているとの言葉から、まだ生きている可能性があるな。

暫く老人ホームを見張って、帰りを待とう。

可愛い女性とお近づきにならなくては。

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