第14話 探索
気配感知で一階部分を調べていく。
多いな、12の反応がある。
隠密を使いながら覗いて見ると、昨日倒したモンスターの死骸を食べているようだ。
あいつらはお互いが、補食の対象となるらしい。
どおりでペットエリアに動物が居ないわけだ。
壊されたゲージが散乱していたが、何も居なかったのは、他のモンスターに食い殺されていたからだったのだろう。
ペットエリアに居るのは、大抵が仔犬や仔猫など小さいのだろうからな。
一階部分のモンスターは倒さずに残しておく。
モンスターが居れば、人は近付けないので、二階の二人が、他人の脅威にさらされづらくなるだろう、との判断からだ。
性交術をまだ試せていないので、由香里には元気でいてもらいたい。
おっさんの相手をしてくれる美人は、とても貴重で尊い存在なのだ。
サービスカウンターに寄って、貸し出し用の軽トラックの鍵を探し貰っておく。
駐車場で貸し出し用の軽トラックに乗り込み、目的地までのナビをセットする。
農協の倉庫が次の目的地だ。
米等の農作物が、どこに保存されているのか知らないので、それらしい所を色々と回ってみるつもりだが、あるだろうか?今は11月になったばかりなので、収穫された米が何処かに保管されているはずだ。
市街地方面に走っていると、まともにトラックを走らせることが困難になってきた。
道が破壊された車で、ふさがれている事が増えてきたからだ。
数台ならば、押して簡単に退かせるのだが、数が増えてくるとそうもいかない。
退かしてからトラックで走るよりも、徒歩ですり抜けた方が速いのだ。
ナビが無くなるのは痛いが仕方ない。
目的地を警察署に変えて進んで行く。
警察署で地図と電話帳?タウンページ?を手に入れたいのだ。
警察署に向かって歩いていると、知らない気配を気配感知が捉える。
隠密を発動させながら近付いて行くと、牛ほどの大きさはある犬がいた。
これもまたデカいな。
モンスターはどれも大きくなるのか?
平時にあんな犬に遭遇したら、怖いどころではなかっただろう。
今は精神力が上がっているので、恐怖は感じない。
少しずつ近付いて行くと、犬がピタッと止まった。
鼻を引くつかせて辺りを警戒しているようだ。
もしかしたら隠密を発動させていても、嗅覚が鋭かったり、気配に敏感なモンスターには効果が薄いのかもしれない。
隠密を過信せず、慎重に行動しよう。
存在は気付かれてしまっているようなので堂々と出ていく。
犬は白い息を吐きながら唸っている。
ハンマーを取り出して構えると、犬が飛び掛かってきた。
様子見で避ける。
犬は直ぐに向きを変えて、ふたたび飛び掛かってくる。
かなり素早いが余裕で避けれるな。
身体をステップで横に1メートル程ずらし、犬の正面からハンマーを叩きつける!
軽い衝撃と共に、犬の頭が破裂した。
飛び散る破片を横に跳んでかわす。
クリーンで落とせるだろうが、出来ればくらいたくない。
使い捨ての手袋をはめて、包丁片手に魔石を探す。
やはり胸の辺りから魔石を発見出来た。
大きさは狸と同じ位だな。
アイテムボックスに入れると、魔石E×3となっていた。
モンスターの種類が違っても、大きさが同じなら同一となるようだ。
今回、犬のモンスターに会った事によって、少し考えてみる。
どこまでの生物が、モンスター化するのだろうか?犬の様に人間の生活に近しい動物も、モンスター化していた。
虫は?もし虫もモンスター化するとしたら、温かくなってきたらヤバい事になりそうだ。
次に植物は?今のところその辺にある木々が、実はトレントになっていた!という事はなさそうだが、これからもそうであるとは限らない。
更には人間は?由香里達も、普通にしていたから大丈夫だと思いたいが、俺がステータスによって強化されている時点で、何かしらあるのかもしれない。
早めに今回の探索を終えて、由香里達の様子を見に行こう。
喫緊の目標を定めた俺は、警察署に向かって進んで行く。
道中に見かけるモンスターは、なるべく回避しながら進むが、面倒な場合は蹴散らしていく。
市街地に入ったからか、犬や猫も見かける事が増えた。
飼い主にはしっかりと面倒を見るように、と言いたい。
じゃれついてくる、虎の様に大きくなった猫を躾ながら、警察署に到着した。
ここまでに2レベル上がっている。
警察署の門には、大きめな車を集めて、モンスターの侵入を防ぐためのバリケードが作られている。
鳥や猫などのモンスターには意味が無さそうだが、他の侵入を防げるだけでも安全になるのかな。
誰も居ない方が物資の回収が楽だったのだが、気配感知には30人程の人の気配が感じられる。
どうするか?まともなコミュニティなのであれば、由香里達を連れてきて保護して貰うのもありなのだろうか。
でもそうすると、お楽しみがきっと無くなってしまうし、どうしよう。
安心して暮らせる環境なのかだけ、確認してみよう。
ステータスを獲得した人が、いるのかも興味がある。
バリケードを乗り越えて、警察の敷地に入る。
敷地内には猫の他、犬や狸のモンスターもいる、バリケード意味ないじゃん。
奥を見るとフェンスが倒されていて、簡単にモンスターの侵入を許してしまっていた。
まあこんなの想定して作ってないか。
どうやって建物に入ろうか?全部倒すのは面倒だな。
野生の動物は火を恐れるってのは定番なので、火魔法を使って追っ払えないか試してみよう。
魔法にはあまり触れていないが、魔法樹から得た(1)は初級魔法であった。
各種魔法に初級魔法があって、火の初級魔法は火球と火壁がある、発現場所は手元から跳ばすことも出来るし、離れた場所でも可能で色々と応用がきく。
(ちなみに火球は消費MP10、火壁は20必要だ)
門から建物の入口にまでに火球を10程発生させると、モンスター達は慌てて逃げていく。
念のため、入口までの通路を作るように、左右に火壁を発生させておく。
ずっと発生させておけるわけではないが、
中に入るまでなら問題ないだろう。
火で作られた通路を進んで、入口に立つ。
入口のガラスは割られていて、ボックスタイプのパトカー?が2台突っ込んで完全に塞いでいる。
片方をアイテムボックスに収納して、中に入ったあとに元の場所に取り出す。
誰も居ないな。
改めて気配感知で人の反応を確認してみる。
全員3階に居るようだが動く気配がない。
一階から物色してみよう。
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